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曇天戦。3
決着は一瞬でついた。
私の足が勝ったのだ。
大蛇竜は雄叫びを上げながらその場に崩れ、やがて灰になった。
「造られしものは形も残らない、か……」
その一言は誰にも聞かれぬまま、曇天の空の下、決戦に幕を下ろした。
ロードがいなくなった魔族や魔物は一瞬で力を失くし、人々に打ち倒されていった。
そしてヒスイが私のところに到着する頃には、全てが終わっていた。
「ライラさん。全て片付きました」
「お疲れ様」
ヒスイの頭を少し撫でると、嬉しそうでもあり、子供扱いするなという照れも見えた。
でも、私の中ではこれは終わりではなかった。
むしろ、旅の意味の始まりのような気持ちになっていた。
「ライラ。それにヒスイ、都の民たちが宴の準備をするそうだ。手伝え」
ラビンは既に戦を感じさせない様子で平然とその場に来る。
その顔は笑顔で、堂々としていた。
「もう宴の準備か、早いな」
「そんなものさ。みんな平和のために戦ったんだ。宴くらいやりたいってことよ」
ラビンはヒスイの肩に手を回し、颯爽と歩き始めた。
釣られるようにヒスイも歩き始め、私もその後を追う。
だが、その場に何か隠されている気がしてならないのだった。




