いざ、決戦の空へ。6
その一時間後。
ヒスイの伝言魔法でラビンにだけ事態を教え、ラビンは地上の指揮者となった。
最初は抵抗するかと思ったラビンだったが、快く引き受けた。
その後、文書で私に貸した内容は「俺に負けはない」だった。
ラビンらしいといえばラビンらしかった。
そして戦は始まりを告げる。
ヒスイと私は飛行魔法で空へと舞い上がる。
都の民からは感嘆の声が聞こえるだけで異様な動きは誰からも見られなかった。
まずは拠点探し。
手こずるかと思いきや、一瞬でわかるほどの暗黒と化した森を見つけて私たちはそこを拠点とみなした。
「あそこまで暗黒化するとなると他の魔族も見つけられそうですが」
「罠かもしれないけどね。でも私の予想はそこまで知能の高い魔族や魔物じゃないと思う。一気に都を攻めてそれから姿を現さないなんて利用されているようにしか見えないからね」
「どういう意味ですか?」
「ヒースに利用されて、あそこを潰せと言われた。潰したから満足。簡単に言えばそんなところ。つまりはヒースに細工されてるだけかもしれない」
ヒースが魔族たちを作ったとしたら、力はかなり強いだろう。
でも所詮は作り物。
知能と力が均衡を図れるほど作り物は簡単じゃない。
今まで完璧な作り物など現れなかった。
それはヒースがまだ成し遂げていない証拠とも取れる。
「魔族が魔力を大量放出するから森が暗黒化している。魔力の放出は同時に力が減っている。でも奴らは根白を守るためにそうしているのだとしたら、こちらにとって都合がいいだけだ。罠じゃなければ彼らは倒せる」
ヒスイに抱えられながら私の推理が始まる。
ヒスイの体は先ほどからこわばっている。
時々、妙な震え方までしている。
そんな彼に言ってあげられるのは一つだけ。
「大丈夫。ヒスイなら勝てるよ」
安心させるわけでも同情しているわけでもない。
私の勝手な高確率に当たる勘を言うだけ。
でも彼はそれを真実にするのだから。
「わかりました」
「今回は大仕事だから勝ったらご褒美だね」
「それは今言うものですか?」
「その方がやる気が出る」
私なりの冗談はやはり人間には通用しないらしい。
きっとこんなことで分かり合える人間はいないのだろう。
「それなら、次の宿、ライラさんの部屋で寝ますね」
意趣返しだろうか。
完璧の笑みと妖艶な言い方で私を翻弄した後、ヒスイは拠点に向かって一発、魔法を放った。




