いざ、決戦の空へ。4
私、ヒスイは内通者から外され、この都の中に内通者がいるとしたら。
都の民はもちろん、ラビンだって怪しいのだ。
急に現れ、仲間になり、協力姿勢を見せている。
だが、ラビンが裏切りを働いたら、この戦は負けだ。
都の人間は助からない。
私たちだって逃げ切れるのか危うい。
「ラビンさんなら旅の途中に魔炭石を所有することもできます。それに彼は戦士。魔力を持たない一族です」
「ああ、あの厄介な鉱石を持つには適しているね。だけど、その線はないかもしれない」
客観的かつ全ての辻褄が会うのはラビンだ。
だが、そう言えない理由があった。
「ヒスイの憶測はほぼ間違いない。だけど、一つだけ違うところがあるんだ」
「違うところ?」
「戦士は魔力を持たない。だが、戦士の称号を得るには儀式が行われる。その儀式にラビンは参加していない。称号も儀式も彼の中には存在しない」
「それと何が関係しているんですか?」
戦士は魔力を持たない。
それが一般的な知識だ。
世界全般に広がるその知識は一つの間違いを催している。
「儀式をする前の戦士一族は魔力を宿しているんだよ」
そう、戦士になる時、儀式を行うのは弱さを見せないために魔力を消すため。
その儀式を行なっていないラビンは一般的な人間並に魔力をもつ。
魔法使いほどではないため魔炭石の影響は受けないであろうが。
「それに彼は山を降りてきたばかりだ。それは私が感じる絶対的な匂いだ」
「匂い?」
「彼の故郷、つまり戦士の一族は毎日火を灯す。電気やガスといった比較的新しいものは戦士の村では使われないからね。街灯はもちろん、火を起こすのも木や光からだ。ラビンからはその火の粉、焦げの匂いがまだ消えていない。ラビンの故郷はすぐ近くの山のはずだ」
「つまり、魔炭石を持ち込めないということですか?」
「そう。それにその知識すらないと思われる」
「知識すら?」
「戦士は魔力を嫌う。もしくは頼らない。だから魔力に関する知識は薄いんだ」
ラビンが山から降りてすぐでこの都を襲ったならその一族を疑わなければならない。
だが、都という最新が揃うこの場所を襲撃する理由にならない。
ましてや魔族の力を借りるなどあり得ないのだ。
「それじゃあ、もう一つ考えられるのは……」
「そうだね」
私はヒスイの言いたいことを先に理解していた。
「ここに魔王ヒースがいる可能性だ」




