いざ、決戦の空へ。3
ヒスイの真剣な眼差しから、何か嫌な予感を感じ取った私は、都の外れまで来ていた。
ラビンまでいなくなると、混乱する可能性があるとヒスイが言い残したため、ラビンはその場に留まった。
都の外れに来ると、ヒスイは周りを気にしながら、声を潜めて言った。
「この都の中に内通者、もしくはヒースが潜んでいる可能性があるかと」
驚愕する内容で、声を出せない私は目を見開くことしかできなかった。
「どういうこと?」
「先ほど、僕の様子を伺っていたようなのでそれならわかると思うんですが、アリアさんから渡されたお守りには魔法の制御をさせなくする魔炭石の匂いとわずかな魔力を感じました。アリアさんが知らずに作るとしても、魔炭石はこの辺では取れません。洞窟の奥深くに眠っているものです」
魔炭石とは魔法使いが最も嫌うとされる鉱石。
魔法の制御をなくし、魔法の暴走を促す。
微力ならその程度。
強大な魔炭石となると、魔法使いは自我をなくすものまでいるという。
魔法使いは大きな魔力を宿している。
だから魔力の左右によって自我や神経を脅かすのだ。
「アリアが内通者の可能性は?」
「否定はできませんが、元々この都では顔の広いアリアさんが内通者とも考えにくいですし、今回の件で得をする人間に思えません。魔炭石を取りに行く時間もなかったはずです。ですが、これはアリアさん単体で動いていたらの話ですが」
ヒスイの言うこともあながち間違っていない。
ヒースがアリアを唆したとしたらこれは簡単な話だ。
アリア単体で行うことは不可能に近い。
もしくは都の中に内通者がいたとしたらアリアは巻き込まれた可能性だってある。
ヒスイはあの一瞬で魔炭石の魔力と匂いを嗅ぎ分けたのだから相当な才能の持ち主だ。
やはりヒースに対抗できる力があるのはヒスイくらいだろう。
「ヒスイの言うことは最もだ。でも後に引くことができない状況だね」
「はい。ここで戦いを放棄するのはもちろん、内通者もしくは魔王ヒースがいるとしれば大混乱です」
「敵の思う壺になるというわけね」
この戦が始まるタイミングでお守りを渡してきたアリアは一概に敵じゃないとは言い難い。
タイミングが良すぎる。
だが、自然な流れでもあることからアリアへの注意は必要になる。
しかし、アリアに集中すればこちらは戦で負ける確率が上がる。
二人ではどうにもならないのだ。
頭を悩ませていると、ヒスイは私のもう一つの考えを言い当てた。
「ラビンさん。怪しくはありませんか?」




