いざ、決戦の空へ。2
「なーに、ヒスイはモテるんだな」
馴れ馴れしく肩を組んでくるため、手を振り払って物陰にラビンを押した。
私も同じところに隠れ、ヒスイとアリアの様子を見ていた。
「隠れて見るのは気になるからか?」
「違う。私がいると自分を発揮できないかもしれない」
「それはどうだか」
ラビンの茶化すような物言いに苛立ちを覚えつつ、二人を見ていた。
アリアはヒスイにお守りを渡そうとしてヒスイに近づく。
ヒスイはそんなことも気に留めずに話を続けている。
「ヒスイ様、これを」
とうとうアリアが渡したお守りをヒスイは不思議そうに眺めていた。
「これは?」
「お守りです。ヒスイ様にご加護がありますようにと」
ヒスイは受け取らずにそのお守りを眺めていた。
やはり鈍感なヒスイには早いだろうか。
それとも照れてもらいづらいのか。
一向に手を出さないヒスイはとうとう口を開いた。
「ありがとうございます。ですが、これは大切な人に差し上げてください。僕には勿体無いです」
驚愕のあまり声を出しそうになる。
それはラビンも同じようで耳元ながらも抑えた声で私にツッコミを入れる。
「おいおい、ヒスイは鈍感すぎるだろ。二人揃って鈍感とか笑えねえぞ」
「二人って誰のこと?」
「ライラに決まってるだろ」
ヒスイはそれ以降アリアから離れてしまったため観察はそこで終わりだったが、今度はラビンと私の討論が続いていた。
「私は鈍感じゃ……」
「いーや、鈍感だね。というか、ヒスイもよくライラを好きになるよ。見た目に惚れるならアリアも十分可愛いだろ」
「どういう意味だ」
「どうもこうも、鈍感すぎて誘われないっての」
先ほどから失礼な言葉をかけられて流石の私も不貞腐れる。
誰も知ることのない過去。
その過去で私は散々、恋を散らしてきたのだ。
そんなことを言われれば、その当時を思い返してしまう。
「私もラビンに魅力を感じないが」
「言ってくれるね。じゃあ試してみるか?」
「何、を……」
急にラビンの顔が近づいて、壁とラビンに挟まれる事態。
ラビンはこの手のことに慣れているのだろう。
だが、私は慣れていない。
ここまで距離が近いと年頃の女のような感情はなくとも、昔を彷彿させる。
「こんなところで何してるんですか?」
影が迫ってきたと思ったらそれはラビンの影ではなくヒスイの影だった。
「おっと、邪魔が入ったか」
「邪魔じゃなくて、ラビンさん、ライラさんに詰め寄るのはなしですよ」
「ライラもその気だったら?」
「それは……」
「それはない」
ヒスイが答えを出す前に声を出したのは間違いだったかもしれない。
しっかり聞けばヒスイの本当の気持ちが見えたかもしれなかった。
それをしなかったのは私のミスだ。
「それよりライラさん、きてくれますか? 話があります」
唐突なヒスイの真面目さに場が凍る。
だが、これは予期せぬ事態だとヒスイの瞳が語っていた。




