ヴィーアンの信頼。4
私は気付けば口を挟んでいた。
これは戦闘を心配してなのか、それとも私情なのかはわからない。
でもこの方法は絶対にとってはいけないとわかっていた。
「ヒスイは制御できなくなったら自分すら燃やせる力を持ってる。それを解放するのは危険がすぎる。それに、ヒスイは莫大な魔力の持ち主だ。制御つかなくなったらどうなるか……」
「ライラさん」
ヒスイが私の名前を呼んで我に返る。
珍しく自分を失うように話していた。
ヒスイは気付けば手を握っていた。
「一つお願いがあります。僕と先陣を切ってくれませんか?」
私よりもよほど冷静なのだろう。
落ち着いた呼吸で私の目をしっかり見据えている。
私が言葉を失ったと同時にヒスイは全員の方を向いて話し始めた。
「上空からの攻撃時、僕はライラさんと上空にいます。そして叩き終わったあと、僕はライラさんと地上に降ります。そこからが本当の戦いです。そこからは一対一になる可能性が高まります。それでも一番勝率が高い方法だと思います。ラビンさんを先陣に着実に倒していけば勝利はあると思います」
私が唖然としている中、都の人間は納得の色を見せていた。
そしてラビンも一つだけとヒスイに尋ねた。
「お前がライラを連れていくのは自滅しないため。その後もライラと共に戦えるな?」
「はい。もちろんです。足手まといには絶対になりません」
ラビンは一つ呼吸を置いてから机の上の駒を動かしはじめた。
「今の戦法通り、ヒスイが上空から叩く。そしてもう一度叩いた後に残りの魔族や魔物を着実に倒す。ヒスイが二発目を打つと同時に都から出発。ぶつかったところで戦闘開始。都には援護できる人間だけを残してあとは結界を張った集落に残す。これで異論はないか」
都の人間は異論はないと拍手した。
私は何の行動もできないまま、会議はその方向で決まった。
会議が終わって、都の人間は決行日に向けてそれぞれ準備することになり会議していた宿を出て行った。
ラビンも気にする様子を見せていたが、見回りに行ってくると外に出て行った。
宿に残されたのは私とヒスイになったのだ。
そこには沈黙しかなかった。
動けず、口も開かない。
その状況が長く続いた。
ヒスイの思っていることがあるように、私にも思うことがある。
それがどんな感情を持っているのか。
どんな意識を持っているのか。
自分にはわからない。
でも一つだけわかっていることがあった。
ただ言葉にできなかった。
「ライラさん」
先に沈黙を破ったのはヒスイだった。




