ヴィーアンの信頼。3
アリアをはじめ、都で残った人たちからの情報収集が始まった。
それにはラビンも同行していた。
ラビンも一人で情報を集めたり、戦の跡を見たりと状況を確認していたらしい。
そしてその夜、私、ヒスイ、ラビンを筆頭に討伐隊が組まれ、作戦会議をしていた。
だが、事態は思ったより深刻だった。
「こちらの人数と敵の数が推測だけでも力量の差が出るな」
こちらの戦力となれる都の人数は約三十。
それに対し、魔族の数は推測でも同じか上回るほどだった。
魔族は一体が人間に対して強い。
力量や魔法の強さでは圧倒的に押し負ける。
知能は人間の方が上だが、考えている間にやられてしまっては元も子もない。
「ライラと俺が先陣を切っても一回で相手する魔族の数は限られる。人間がこれだけいるとなればヒスイも大胆に魔法は使えない。そうなると、飛行魔法を使っても限度があるな」
ラビンは駒と地図を見比べながら腕を組みながら唸っていた。
ラビンの考えは正しかった。
実際、魔族と一対一で戦えるのは私とラビン程度だ。
残りは三人がかりがやっと等しいと言える。
戦力になりそうな戦士や衛兵は既に負傷している。
この見立てがあっているかすら怪しいのだ。
「ラビンは魔族との戦闘経験は?」
「あるとは言える。だが、ここまでの戦はそう多くはない。それはヒスイもだろう」
「ヒスイは…… 魔族の経験はあまりにも少ない。道中のほとんどが魔物だった。魔族は一回対峙した程度だ」
「それは、後方に回すしかないな。悪いが援護組になるしか……」
その間、ヒスイは黙っていた。
まるで何かを考えているかのように。
こういう時のヒスイが一番怖いことを私は知っている。
だから何か言い出さないように願うばかりだった。
「せめて魔族の数が大体でも把握できれば良いんだが……」
「僕が先陣を切ります」
ヒスイの第一声は私も耳を塞ぎたい言葉だった。
ラビンも困惑した様子だったが、すぐに否定した。
「お前は戦闘経験ないだろう。それなのに先陣切ったら……」
「奇襲です。飛行魔法で空から拠点を叩きます。大体の数はわかるはずです。それをライラさんとラビンさんに魔法で伝えます。それからもう一度空から叩きます。大きな魔法を使ってよければ半分は減らせるはずです」
ヒスイは淡々と説明をしていた。
それは戦闘経験がない人間とは思えないほどだった。
それはラビンも同じように思ったようで口を開いたままだった。
次々に説明していくヒスイにラビンは急いで口を挟んだ。
「ヒスイ、その戦闘方法、どこで習った」
「家の書物です。昔は奇襲も普通に行われていましたが、今は町や都、村が多くなったことが原因でできなくなっています。ですが、ここは広範囲を対象にしても破壊する恐れのある集落はありません。だからこの方法が取れると僕は思います」
スタンリング家は一体、なぜそんな書物を持っているのか不思議だが、ヒスイの戦闘方法はかなり効果的だった。
地にいる人間は距離をとってヒスイの魔法で半数をやれば半分は都の護衛に回せる。
そして残りで拠点に向かえばかなり勝率は上がる。
「確かにヒスイの案は納得だが、お前そこまでの魔法使えるのか?」
「はい。普段は暴走を抑えるために制御するよう心がけていますが、制御を解けばできます。僕の中にある魔力を最大限使えば半数倒すのはできるはずです」
ラビンはその言葉に納得してしまったようだった。
だけど、私には納得できなかった。
それはヒスイを破滅させるようなものだと知っているから。
「それならそれが一番……」
「ダメだよ」




