ヴィーアンの信頼。2
一つの扉が開き、出てきたのは若い娘だった。
年はヒスイと変わらないくらいだろうか。
身なりからしてそれほど下の身分ではないと見える。
「あの……」
後ろには都の住人と思われる大人たちがこちらの様子を窺っていた。
ヒスイと私は真っ直ぐに少女の目を見て向き合った。
最初は口を閉じたり開いたりしている少女だったが、意を決したのかこちらを真剣な眼差しで見つめた。
「本当に私たちを救ってくださるのですか? 本当に敵ではないのですか?」
少女は怯える瞳を向けていた。
この都が滅びるところを見ていたのだろう。
そして首にかかった紋章の入ったペンダントはこの都の紋章だ。
都の長に関係がある人物とみて間違いない。
「敵ではない。そう言って信じてもらえるほど自分達を過大評価はしていないけど、それでも同志だとは思っているよ。だからここを復興するためにも、二度とこんなことが起こらないようにするためにも情報が必要なんだ」
私は、ゆっくりと状況を説明した。
少女にもわかりやすくそして心を痛める言葉をあまり使わないように。
すると、自然と大人たちも外に出てきていた。
「そうですか。私はこの都の長、ヴァイアルの一人娘。アリアと申します。都は見ての通り滅びました。私の父も私や都の住民を逃すため尽力しましたが、おそらく息絶えています。魔力を感じません」
都の長やその娘となれば強い魔力を持っていたのだろう。
その魔力を感じない。ましてや身内の魔力を間違えるはずがない。
それならば息絶えている、もしくは魔族に喰われたと考えるのが自然だろう。
だからこの集落はアリアがまとめているということだろう。
「都は滅んでしまった。できることならば復讐したい。でもそれはきっと叶わない。それならば長の娘としてやるべき役目は一つ。この街を復興することです」
アリアは年齢の割にしっかりしているように見えた。
しっかり教育されていたのだろう。
その教育は娘だろうと都の住人がついてくるほどだ。
そんな人たちを犠牲にしたのは悔しさが滲む。
「ライラ様とヒスイ様ですよね。お願いがあります」
アリアはもう少女というよりもこの都を治める人物としての姿勢に変わっていた。
そして私たちに頭を下げた。
ゆっくりと深いお辞儀で。
「この周辺の魔族、ここを滅ぼした魔族を倒してください。私たちだけでは復興していく希望すらありません。また魔族が襲ってくるのではと。でもあなた方は強いお方だと見えます。だからどうか、この都を救ってください」
後ろの大人たちもゆっくりと次々に頭を下げていった。
私とヒスイは顔を見合わせてゆっくりとアリアに歩み寄った。
そしてアリアの肩に手を乗せ、アリアが上を向くのを待った。
「できる限りのことはするよ」
「僕たちは見捨てる気なんてありませんよ」
私たち二人の言葉にアリアは涙ぐみながら笑顔を見せた。
「よろしくお願いいたします」




