ヴィーアンの戦。4
「それにしてもライラって美人だよな」
「なっ」
ラビンの一言にヒスイが凍りつく。
私はそれを上の空で見ていた。
「不老不死だから歳はそれなりだろ? それでもこんなに綺麗だと男も黙ってないよな」
「ラビンさん!」
ヒスイは顔を真っ赤にしてラビンに抗議していた。
だがラビンは構わず私に迫ってくる。
「こんなお坊ちゃんより俺の方が気になるだろ? ライラ」
「どっちも私からしたら子供だよ」
それもそうだ。私は本来彼らとは違う時代に生まれたのだから。
相手にするはずもないような年齢差。
それこそ同じ時代を生きていることは奇跡。
恋愛感情が生まれることは程遠い。
そんなことに構う様子もなくラビンは私の手を握った。
「でも力は勝てないだろ? 戦士の俺には」
ラビンの握る手は確かに強い。
そして手加減がされている。
本気を出されたら逃げることは出来ないだろう。
「ラビンさん! 冗談やめてください」
ヒスイは横で真剣な眼差しでラビンに訴えていた。
ラビンも降参だと言うような素振りで私の手を離した。
「ただ気をつけろよ。お前を知らない奴はこうやって近づいてくる。せいぜい騙されないようにな」
年上の女性に言うような忠告ではなかった。
そんなことは私の方が知っている。
彼はきっと力を示したかった。
ラビンの賢さは侮れない。
それこそ最強の戦士だと言うのも頷ける。
「もうすぐヴィーアンだ。もしかしたらもう既に戦いが始まっているかもしれない。気を引き締めていくぞ」
先ほどまでのおちゃらけた態度が嘘のようにラビンの勇ましさが元に戻る。
やはり彼は戦士だ。
その称号を受け取らなかった気持ちはきっと誰にもわからない。
「ラビン、先走っちゃダメだよ」
ラビンは一度驚いた様子を見せたが、すぐに元通りになった。
きっと彼は思い詰めている。
その理由はわからない。
長年の勘ということにしておこう。
そしてその勘がヴィーアンからも嫌な匂いを発していることを知らせていた。




