ヴィーアンの戦。3
勇ましい戦士ラビンが加わったと思っていた。
だが、現実は程遠いものだった。
ヴィーアンに着くまでの道中、ラビンと話をしていた。
過去のこと、私の知っている先祖のこと。
だが、どれも最初の印象とはかけ離れた戦士らしくない姿だった。
「俺は戦士なんてやりたくないんだよ。もっとのんびりゆっくり過ごしたい。戦いとは程遠い生活をしたいのさ」
「よく戦士の村で育ったね」
「俺だって嫌だったさ。戦い方を教え込まれて、見込みがあるなんて言われてどんどん厳しくなって。もっと酒を飲みながらいつだって楽しくしていたい」
「戦士とは思えませんね」
黙っていたヒスイも呆れ出す始末だった。
酒好きで女好きで、戦いとは無縁に生きたい。
戦士の村ではどれも否定されるものばかりだ。
村を抜け出す結末もまるで決まっていたかのような意志だった。
「ヴィーアンに行くのだって生活物資が足りなくなるからだしな。まあ他にもやることはあるが」
「先祖の墓参りでしょ?」
「本当に不老不死なんだな。そうだよ。ばあちゃんの墓参りだ」
「墓参りですか? 戦士の村にあるのではないのですか?」
ヒスイは先ほどから目まぐるしく表情を変えている。
おそらく予想もしなければ考えも出来ない事柄や事実が行き交っているからだろう。
そのヒスイの頭をラビンは抱えて抵抗するヒスイに一発食らわせていた。
「俺のばあちゃんはヴィーアン出身だ。だから墓もヴィーアンにした。ばあちゃんは戦士のじいちゃんに着いて行った。それが幸か不幸か、戦いに巻き込まれた。だからせめてその後は戦いに影響されないようにヴィーアンに弔ったのさ」
「彼女は幸せそうだったよ。少なくとも戦に巻き込まれる前は」
ラビンは複雑そうな顔をしていた。
きっと私が知らない間に大きな戦いがあったのは間違いない。
だから深くは言ってあげられない。
でも愛を知らなかった私が言えるほど彼女は幸せそうな顔をしていた。
それを伝える術もないのだから説得力は皆無に等しいが。
戦士の妻になれば危険もある。
旅をしている戦士と共にあればなおさら。
ある時出会った旅の戦士とその妻も壮絶な過去を持ちながらも幸せそうだった。
だけどラビンは知らない。
女好きでもきっと妻はいない。
そして愛も知らない。
だから戦士を恨むのだ。
「でも先ほどの戦い方からして相当鍛錬を積んだように見えるんですが。今の口ぶりを見ていると嘘のようですね」
「ヒスイそれ以上言うなら、串刺しにするぞ」
ラビンとヒスイのやりとりもまるで長年連れ添っているかのように定着し始めていた。
賑やかなやりとりも悪くない。
旅の仲間の面白さを実感する旅路になりそうだ。




