ヴィーアンの戦。2
「なぜ俺のことを」
彼は自分の情報だと認めた。
ラビン・ ブラウンの噂は少しだけ知っていた。
長年生きていると噂はよく聞くが、絡まっていなくてよかったと今一度思う。
だが、その情報を口にしたのが吉と出るか凶と出るかは私の次の言葉次第だった。
彼は自分のことを知っている私を少なからず警戒している。
「君に頼みがある」
「出会って攻撃をかましたくせに、頼みがあるとは随分と自分勝手だな」
「そういう君も私たちが攻撃する前に構えていたじゃないか」
その瞬間に彼は口元を緩めた。
これは事実だ。
私が攻撃の構えをしたのも、彼に刃を向けようとしたのも一瞬でも敵意を感じたからだ。
「頼みはなんだ」
彼は私の目を鋭く見ながら警戒を緩めずに問う。
その彼に私は構えの姿勢を完全に無くして自分なりの微笑みを見せた。
ここまで面白いことはないと、そんな様子で。
「私たちの仲間、戦士になってくれないか?」
森が静まり返る。
私以外は拍子抜けの顔をしていた。
ヒスイも予想だにしていなかった話に言葉を失っている。
「何を言い出すかと思えば、先ほどから何を言っているんだ」
「私たちはヴィーアンに行きたい。けど見ての通り魔法使い一人に旅人一人だ。そしてこの道中は争いの火種が撒かれている。それならば、協力してヴィーアンに行かない? その方が双方得だ。力で解決できるのは君が。魔法で解決できるのはこの子が」
「どうして俺がヴィーアンに行くとわかっているのかがわからないが、その話乗ってやる。だが、ヴィーアンまでだ。それでいいかライラ」
「いつ気づいた?」
「攻撃をかわした時だ」
やはり彼は最強の戦士にふさわしい。
頭も働き、世間を見ている。
そうでなければ初見の私を不老不死ライラだとは気づかない。
「不老不死ライラくらいしか俺の攻撃を、先祖代々の攻撃をかわすことは出来ないだろうからな」
「てことは、やっぱりあいつの孫か」
「あの、話が見えないんですけど」
私とラビンの会話にヒスイがようやく入ってくる。
その様子は怯える猫そのものだった。
「ヒスイ・スタンリングまで一緒になったとは、厄介者の集まりだな」
「どうして僕の名前を?」
「有名な臆病魔法使いだからな。旅をしていればお前たちの情報は入ってくる。何せ、通ってきた道がほとんど一緒だからな」
ラビンは武器をしまうと私たちの前に立ち、鼻で笑う。
だが、その様子は殺気立っている様子とは打って変わって、年相応の青年らしい爽やかな笑みを浮かべていた。




