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旅人ライラは不老不死  作者: 飛鳥ソラ
始まりの章
38/216

雨上がり、水の都へ。3

私は飛行魔法を使えない。

だからヒスイに引っ張ってもらうしかないのだが、ヒスイは思わぬ形で私を空へ連れ出した。


「ヒスイ? これは何?」


「飛行魔法ですけど?」


「じゃなくてこの格好は?」


私はヒスイに抱えられて空に浮かんでいる。

飛行魔法はその者に触れているだけで伝えられるものなのだが、なぜか抱えられて耳が熱い。


「この方が心配ないので。それよりも離さないでくださいね。何が起こるかわからないので」


そう言うなり、ヒスイは全速力で風を切っていく。

あまりの速さにヒスイの体を力強く掴んだ。

長年生きているのに、ここまで余裕がなくなったのは初めてだ。


ヒスイの顔は真剣そのものだった。

自分一人がここでジタバタしても仕方がないと諦め、私はヒスイにしがみついたまま、その爆発音へと向かうことにした。


「ねえ、ヒスイ。会話する余裕ある?」


「少しならありますよ」


「この爆発音の前にしてた話、落ち着いたらまたしてほしい。あと少しで何かが見えそうなんだ」


ヒスイは少しの間黙っていた。

きっと家のことを話すのは嫌いなのだろう。

それでもヒスイは一度、息を吐いた後に微笑んだ。

空を照らす太陽と重なるような温かさで。


「わかりました。その代わり、ライラさんの話も聞きますからね。あと、今日のご褒美も……」


最後の方は声が小さくて顔も赤らめていた。

年頃の男子なのだなと思いつつも、少しだけ頭を撫でて私も微笑んだ。

私にはない、人間の感性をもっと感じたいと思えたのだ。


「じゃあ、こないだの洞窟の続きでもしようか」


「は、はい!?」


「こらこら、飛行が崩れる」


「からかっていますよね」


こんなやりとりをする相手もいなかった。

それでも、からかう相手がいて、困難に立ち向かうのも一人ではない。

それがすごく心地よく思えていた。


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