復興を遂げるべき町。6
「ヒスイはいいやつなんだ」
ふと出た言葉は嘘ではないが、私にとっては価値のある言葉だった。
一人の人間を見てこようとしなかった。
ただ孤独に生きればいい。
そんな考えから誰かと共に歩むことを避けてきた。
それがヒスイに出会って変わった。
それがいいことなのか悪いことなのかはわからない。
「こんな私と一緒に歩もうとしてくれている。だけど、それが返って怖い時もある」
「自分が不死だからか」
ギルの言葉は痛いほど当たっていた。
胸に走る痛みは今まで抱えてきた何者でもない自分の足枷だった。
「私は死なない。でも彼は死ぬ。それでいて本性も実態もわからない。本人もきっとわかっていない事実があるんだろう。だからこそ彼の危険を察知できない。油断していれば死に至るし、警戒しすぎると彼を傷つける。人間は難しいな」
私は人の感情を考えるのが苦手で嫌いだ。
人の感情はうつろいゆくもの。
何人もの裏切りを見てきた。
それでも人は人を信じようとする。
ヒスイはそんな人間をそのまま表したかのような人だ。
私が最も恐る人だ。
私を信じようとする、でも私は信じてあげられない。
「人間は難しい。でもヒスイのような人間は見返りを求めない。だからお前には合っているよ。自分の身は自分で守る。そしてその時が来たらヒスイは笑って別れられるさ」
ギルはヒスイの心をよく理解している。
でも私には理解ができない。
このままヒスイと居続けたら私はきっと一人に戻れなくなるだろう。
そうなった時、私はどうするのだろう。
「別れなんて笑えないよ。人間の考えていることはわからない」
「でもお前も人間だ。本質はどこかに持っている。だから今悩んでいるんじゃないのか?」
ギルの言う通りなのはわかっていた。
悩む理由はヒスイとこのまま旅をしていいのか。
どこかで何かが芽生えないうちに別れるべきなのではないかと。
彼は私には眩しすぎる存在だ。
この町の復興も私一人ではスルーしていただろう。
「ギル。私はヒスイと行動していいと思う?」
ギルにいつか投げかけたもの。
それを自分にも投げかえた。
けれど答えは出なかった。
長年旅を一人でしてきたせいか、それとも私が変わったのか。
わからないままに呟くとギルが吹き出した。
「お前は正気か? ヒスイは嫌だって言ってもついて行くぞ。俺より少しは長くいるんだろ? それならヒスイのこともわかるはずだ。こんなところで別れる訳ないってな。だから諦めろ」
ギルは私の頭を掻き回した。
年上の女性にすることではないのだが、ギルの手は大きくてなんだか落ち着くのだった。




