魔族に襲われた町、アルタ。3
それから私、ヒスイ、ギル、リアで町長始め、住人たちに声がけをしたところあっさりと頷き、滞在が決まった。
町長や孤児院の職員などはある食材で食事作りを。
動けるものは瓦礫の撤去を。
私、ギルは魔水晶の採取を。
ヒスイは自分に防護魔法をかけながら住居作りをすることになった。
魔水晶が力を発揮できるのは防護魔法を含めると一軒分。
住人の世帯数は今ある限りでは十二世帯。
その他にも生活していくための市場や、公共施設を建てるのに、二週間では足りないくらいだった。
最初に作ったのは仮の住居。
生活をするためには頑丈でなければならない分、ヒスイの魔力も限界はある。
一日、一軒が限度だった。
私がそうしなければならないと決めたのだ。
ヒスイは最初抵抗していたが、魔力の話をすれば納得していた。
そうして私はギルと魔水晶を取りに洞窟に向かった。
ヒスイの防護魔法を信じてヒスイは町に置き、町の見張りをリアに任せた。
ギルがリアなら大丈夫だと言い張ったからだ。
「ねえ、ギルとリアはどういう関係なの?」
信用しきっているのに、距離をとるギル。
それに負けじと距離を詰めるリア。
当然不思議に思った。
案の定、ギルは苦い顔をして私を見た。
「お前、それ聞くか?」
「リアの前で聞いた方が良かった? 一応私なりに気を遣ったんだけど」
「気を遣うなら聞くな。察しろ」
ギルはポケットに手を突っ込んだまま歩き続ける。
私はその姿を見ながら、黙って答えを待っていた。
盛大なため息をついた後、ギルは自分の身の上話を始めた。
「俺とリアは恋人だった。結婚の話も出てた。俺が二十二の時で、リアは十九だった。仲も良くてな、問題はなかったんだ。ただ、俺は自分の父親のことを隠していた。俺の父親は昔、盗賊だった」
「よくある話じゃないか」
「ああ、でも俺は純粋なリアを盗賊の家族にしたくなかった。だから逃げたんだ。商人になるから旅をするって言ってな。リアはまだ結婚が間に合う年だった。俺は次がなかったがそれで良かった。リアにはもっとふさわしい相手がいる。そう思ったんだ」
「自己中心的な考えだね」
私の言葉にギルは反論もせずただ「ああ」と同意の声を漏らした。
ギルの背中が小さく見えるのはこのことを後悔しているからだ。
それはリアの指を見ればわかった。
「リアはそれでも結婚しなかった」
私の見た限り、リアは指輪をしていなかった。
指輪をしない結婚もないことはないが、リアの身の上話に夫はいなかった。
それに加え、アルタは結婚を重じていた。
指輪をしない、身につけていないと言うことは結婚していない証明だった。
「リアに昨日聞いたんだ。そしたら俺と以外、結婚するつもりはない、てな。全く、いい女になってんのによ。俺は勝手に捨てて出て行ったんだ。それでも待ってたんだ。人の目も気にせずずっと」
片手で頭を押さえながら「バカだな」とこぼすギルは本当に小さかった。
私にもわかるくらい愛があったというのに。




