私を知る商人。2
「いやー、久しいなライラ。相変わらず元気だな」
崩れた服装に赤色の髪がよく映える彼は世界を旅する商人、ギルバート・ルシィ、通称ギルだった。
「お陰様で」
ギルはいつもこんな調子で私のことを撫でてくる。
私の方が長生きしているというのに。
「相変わらず不死の旅してんのか」
「なんでそのことを……」
置いてけぼりのヒスイは限られた人しか知らない不老不死について疑問を抱いたようだった。
そんな様子を見たギルは鼻で笑うと、満面の笑みで自分を親指で指差した。
「俺は商人ギルバート・ルシィ。商人やってるからな。これでも情報は入ってくるんだ。前にライラと会った時、魔物に襲われてな。戦おうとしたんだが強すぎてライラの力を借りた。まあそん時に怪我が治るライラを見て知ったってわけ」
「ただギルが弱かっただけでしょ」
「そういうお前も危なかったじゃないか」
ギルと出会ったのは一年前のことだ。
ギルの言う通り、通りすがりに襲われているギルを見て助けた。
だが、大怪我をしてしまい、治る姿をギルに見られた。
ギルは最初は驚いていたが、笑っていた。
その後すぐに別れてしまったので印象は薄かった。
私の正体を知って笑うやつは初めてだったのに。
長生きは残酷だ。
「それでライラ、弟子でも取ったのか? 見るからに貴族だが?」
「あー、訳ありで一週間前から夫婦なんだ」
「は?」
ギルの怪訝と興味津々の顔を見たヒスイが頬を赤らめながらも慌てて否定した。
「あ、そう言う設定なんです」
「あーなるほど」
納得が早いのは助かるが、ギルの目はまだ興味を消さない。
これは厄介なやつだな。
そう感じながら私はヒスイに軽く頭突きを入れた。
鈍い音がしたのでヒスイはその場にうずくまった。
「ヒスイ、ちゃんと夫婦って通さないと」
「この人はいいのかなって思っちゃったんですよー」
うずくまりながらも「痛い」と抗議するヒスイを放っておき、私は鞄を漁った。
ここでギルに会ったのだ。
ギルの役割を果たしてもらわなければ。
「これ、さっき採った鉱石なんだ。いくらで売れる?」
ギルは鉱石を見るなり呆れたような顔をする。
手振りまでつけて。
「会って早々、商売の話とはつれないね。もっと楽しい話をしようと思ったのによ」
ギルの楽しい話はろくな話ではないと悟った私は、首を振って断った。
ギルは一息ついた後、鉱石を手に取りじっくりと見た。
正体がわかった様子を見せたギルはにやけるように笑った。
「これは高く売れるな」
「なんでですか?」
痛みが引いたのかヒスイも話に入ってきて、この鉱石をまじまじと見る。
ギルは「知りたいか?」と悪戯そうに聞いて、説明を始めた。




