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巫女さんからの呼び出し

いやー、実はちょっと病気にかかってしまいましてー(嘘)

最高に大変でしたよー(嘘)

熱がね、もうね、41℃まで上がって!(大嘘)

 翌朝。

 明け方のうっすらと朱色に染まって行く青いそらを眠い目をこすりつつ、眺めながら、昨夜届いていた手紙に書かれた場所に向かっていた。

 そらは昨日、あの本を借りて読んでいたため、徹夜な上、朝が苦手なのだが、なぜこんな日の出もしていない早朝に起きているのか。

 その理由が手紙なのである。

『藤田そらさん 明日、日が昇り切る前までに以下の地図に記された場所に来てください。あなたに話したいことがあります』

 とのこと。

 なぜ呼ばれているのか

(1つ目は、追放宣言)

 強化術士という役職上無能であり、更に適正魔法もなく、5日もの時がすぎた。

 ドラフィティはそらに対して態度を変えたりなどをすることはなかった。むしろそらを大事にしているほどだ。

 だからこそそれがあまりよろしくないから、適当にどっか行っとけ的な感じで追放される……かもしれないというのが1点。

 もうひとつが

(やっぱあの本のことだろうなぁ)

 あのあと考えてみたがなぜあんなものがあんなところにあったのか。というのがずっと引っかかる。

 聞いてみたところ昨日のあの警報を聞いていたというものは誰ひとりいなかった。

 自室の戻ったのが九時半。つまり多く見積もったとしても9:00~9:25までに警報はなったということで、それぐらいに全員寝ているというのは考えづらい。つまりあれは他の部屋に漏れていなかった…つまり魔法等で何らかの通達をするための(トラップ)

 昨日のトラップは何だったのか。そもそも本を取ったからなったのか?

(そうだ、どこかの誰かが何かのトラップを発動させたんだ。)

 自分じゃなく他人が鳴らしたんだろう。そう決めつけたい。そう思いたい。だが、何故か胸騒ぎがする。

 一人ぐらいはあの本に気づかなかったのか

 一人ぐらいは神に疑問を持ったことはなかったのか。

 あの本の中の地図は逸品だった。あれはあの地獄の迷宮を攻略するにはとても役立つだろう。

 それこそ現在の最高到達層を軽々と超えることができるほどのものだ。

 なのになぜ見つかっていない。

 この世界の真実と書かれた本をなぜ誰も見ない。

 そんな靄がかかって晴れない……

 結局指定された部屋についたときにはコーヒーを飲んで一服したときぐらいには冴え渡っていた。

(っ……)

 ノックをして、暫く待つと「はい」と澄み切った鈴のような音が響く。

「藤田です。巫女さん」

「藤田さんですか~。入ってください~」

(声音が堅いな。これはかなり真面目な話のようだ。)

 いつもはテンションが高く、語尾が上がっている彼女はいない。抑揚をわざとおさえているのだろう。手汗をかきながら、堅っ苦しい雰囲気のドアをゆっくりと開ける。

 さすが王(?)の血筋を引くだけあって部屋はきちんと整理されている。

 レッドカーペットが引かれ、右側の窓から太陽の日差しが差し込んでいる。奥には深い茶色で塗装された木の作業用デスクが重厚感を放っている。

 羽ペンのようなものをペン立てにしまうとこちらに顔をあげる。

「おはようございます~、藤田さん~。今日は朝早くからありがとうございます~」

「いや、大丈夫ですよ、……それで、用件ってなんですか?」

 なんでも見透かされているようなその透明な瞳がこちらを_そらを覗いた。

「藤田さんは無駄話が嫌いなものと見ました~、用件だけ述べますね~」

 その目に覗かれると、心を掴まれているような感覚になるが。

(こんなものはまだぬるい。)

 そらが、心の準備を整え、巫女の目を見る。

「……単刀直入に言います」

 巫女の目が鋭く細められる。

「あなたは神を信じますか~?」

(ゑ?)


♢♦♢♦♢♦♢♦


「え、ええ。神は信じていますが…」 

 この巫女が何を考えているのか全く読むことができないため、咄嗟に嘘をつく。

 が、その声音はうわずっている。それはそうだ、予想外の質問をされたのだから。

 そらは熟考する。

 そして、意図を理解してきた。

 さっきの質問は神に対する信仰心があるか、と言うのを試すテストのようなものだったのかもしれない。あの本が降ってきたのはあの時立っていた場所にトラップが仕掛けてあったからで、それの発動条件は神を不審に思っているかどうか。

 そしてそらはそれに引っかかり、あの本が落ちてきた。

 そしてあの本を読んだのち、信仰心が更になくなった場合、第二のトラップ、警報が発動した。

 そう考えると全て辻褄が合う。

 つまりこの質問は、カマ、あまり下手に情報を漏らすと危ない。

 そらは警戒心をマックスにして受け答えをする。

「そうですか〜。……その目、嘘をついていますね~分かりますよ~」

 心臓が飛び跳ねるように感じた。

 (嘘がバレた!?)

 どこまでバレたのか、探らないといけないだろう。

 さらに下手に嘘をつくよりも抽象的なことを話して誤魔化せばいい。そう考えてそらは改めて巫女の目を見る。

 目が、鋭く細められていて、ほんわかとした口調、雰囲気をまとっている彼女が放っているもののようには思えない。

「え、ええ……この世界に来て周りに合わせていたのですが…そもそも神がいる……という概念が理解できなくて」

「ふむ~……神の存在を感知してもらうというのはとても難しく~、さらに異世界は無神派の方々が多いんですよね~。つまり神の存在を感じてもらうことがとても困難なんです~」

 そらは日本にいたころ、宗教について全くといっていいほど無関心で、授業で宗教の歴史を学んだ程度のことしか知らない故、神の存在を感じろと言われても難しいのだろう。

「特にそらさん~神のご加護が発現していませんからねぇ~」

 どうやら神のご加護というものが発言すると神の存在を感じることができるようになるらしい。

 神の存在を感じるというのは感覚のようなものらしく人に教えるのは難しい。

「やはり定期的に我々が教えを説くので~それを受講してもらうしか……いいですよね~?そらさん~?」

 無言の圧力をかけてくる巫女。何をされるかわかったものではないが、今ここで断ったらそれこそ何をされるかわからない。

「え、ええ、ぜひ、受けさせてもらいます。」

 その後、なんか一応初回の講義ということで神について教えてもらった後、解散となった。

 その内容は主に宗教のことについてだった。創造神レヴェナを祀る宗教をレヴェナルテント教というらしい。大雑把に言うと、創造神レヴェナによって世界が作られたという伝説の元、創造神であるレヴェナに感謝しつつ、祀るというものらしく、たまに御神言というお告げ的なものがつげられるらしい。 

 ということを聞いていたが、そらは結構上の空だった。

 見抜かれているような、いないような。

 なぜ昨日急に手紙が届いて今日講義をすることになったのか。その理由を考えると本につながるはずなのに当の本人は何も言わなかった。

(何を考えているんだ……?)

 巫女は一筋縄ではいかないどころか三筋くらいかかりそうだ。

 そんなどうでもいいことで現実逃避をしてしまうくらい精神的にきついものがあった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦

「ええ、ええ~気に入ったわ~、彼~」

 私は歓喜のあまり叫ぶ。

「如何なさいましたか?お嬢様」

「藤田そらが面白いのです~やはり聞いていたとおりでした~勇敢で、どこか一歩身を引いて周りを冷静に観察していて~客観的に物事を考えられている……理想ですわ~!彼こそ私の理想の伴侶です~」

 うっとりとした猛烈に甘い感覚に襲われる。

「何よりも、あのもうそろそろ殺される小動物みたいなあの加虐心をくすぐるあの反抗的な目がたまらですぅ~! コレクションしたらあれを毎日見られるかもしれないのでしょう~? 最高ですぅ~」

「ソラさまの従順化も順調に準備が整い始めています。あと……そうですね……3週間ほど……でしょうか」

「本当にですか~! それは素晴らしいですねえ!」

 私はどうしようもなく興奮していた。

「ふふ、藤田さん~待っていてくださいね~♪」

 私の想い(重い愛)を受け取って

 ♢♦♢♦♢♦♢♦

 我らがお嬢様、セレスティア様は天才、まさに神童と言うべき存在です。

 彼女は生まれてすぐの状態で、魔力を10万保持していたといいます。

 更に幼少期からすべてのことに才能が開花し、すべて上位の一握りに入れるくらい上達したとか。

 そんな彼女の本当の性格は__

 加虐欲があり、愛が重く、性格のネジが10本くらいどこかへ飛んでいっているというしかありません

 更に時々『エイゴ』?という言語も話します。

 お嬢様によるとどこかの大陸の原住民族の言語らしく、姫様がそんなはしたない言葉を使わないようにと何回も言っているのですが、全く聞く耳を持っていただけません。

 このように少し変わったところがあるお嬢様ですが、表の顔はとてもお優しく聖母のような慈愛に満ちた心優しいかおをしています。

 更に彼女は研究者のような気質もあるといいます。

 民に慕われ、魔術史に名を残し、文武ともに良い……これほどまでの才女がどこかにいたでしょうか。

 まるで異世界の神の使徒のようです。

はい、すいません


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