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異世界転移

時間があったので投稿します。

 「神の間」。そこは皇族一族が神からのお告げを聞く場所になっている。

 皇族一族は圧倒的カリスマだけでなく、神がかった魔法技術を持っている。そしてその魔法を使い、神の意志とやらを聞き、神のお告げという何やら胡散臭いものを人々に宣布し、政治をしているという。

 そのお告げとやらを聞く場所がここ、「神の間」だ。

 「神の間」は1人でこもって祈りを捧げるためだけに作られたと言うにはだいぶ、いやかなり大きな部屋だった。

 部屋には派手な装飾等は施されておらず、白の透き通るような質素な輝きが部屋を包み込んでいる。

 どこか和のような雰囲気を感じさせる部屋の中心には先程そらのクラスに現れた魔法陣とよく似た模様が彫られている。その魔法陣以外に異例なところを上げるとすれば、そこら辺を浮遊したりしている火の玉や水の玉などがあったりとかなりファンタジックである。

 そこに小さく淡い光が宿る。

 刹那、

「いったっ!?」

 大勢の制服を着た_そらとそらのクラスメイトがかすかに空中に浮遊した後、おちた。どすんと重い音が響く。

 そらはとっさに周りを見回す。花凪の栗色のさらさらな髪が映ったことでほっと一息をつく。下敷きにしてしまっていたりしたら嫌われかねない。

 嫌われたら嫌われたで気楽に過ごせるかもだが、彼女が嫌がることをしたという罪状で鉄槌が飛んでくるかもだし、さすがにわざわざ嫌われるのもやりすぎだろう。

 (というかここどこだ?)

 当然のようにボケた思考をしていたわけだが、得体のしれない謎の光に包まれて、なんでこんなのんきなことを考えていたのか。とそらは自分を戒め、直前のことを思い出す。

 クラスに魔方陣のような奇妙なものが教室を覆い尽くして、発光したあと、奇妙な浮遊感が数秒続いたかと思ったらここにいたのだ。

 そらはここを知っているわけでもないから、魔法陣によって、転移してきたなんてイタい中二病の妄想みたいなことが起こったというわけになるのだが。

 ほっぺをつねってみるが、痛みを感じる。というかこの発想が浮かんだ時点で夢じゃない。とそらは確信した。

 一応このクラスの美人を狙った誘拐の線はあるが、ならばさっきの奇妙な浮遊感と教室に出てきた魔法陣は何なのかというのと、そらを誘拐する必要がないのと、数秒ほどで学校の教室から移動できるなど不可能であることからないだろう。

 というか今の状況を考えるより逃げたほうがいいのではないか。そう思い、困惑しているクラスメイト達に伝えようと思ったが_

「みなさ~ん、聞いてくださぁ~い」

 ゆるいふわふわとした声がそらが出そうとした声を遮る。声の主の方をそらが見ると、見た目は小学生くらいの、伏し目がちの純白の巫女服を着た女の子がいる。

 クラスメイトの女子は「かわいい」と言っているが、目の前の人物は何者かわからないうえに、どこからともなく出てきたため、男子陣は警戒を強める。

 一応、敵対する意思はなさそうで、むしろ話し合いもできそうだから彼女の話を聞けば脱出の糸口は見つけられそうではある。

「皆さんを~ここに転移させたのは~この私です~、まず~、私の話を~聞いてほしいですぅ~」

 かわいいなどとほざいていた女子生徒たちもここに連れてきたという一言を聞くと、顔がこわばる。そして、今回の騒動の張本人の話を聞くことでなにかわかるかもしれないと判断したのか、急に静寂が訪れる。

 全員が真剣な眼差しを向ける中、咳払いを一つした後今度は大きな声で説明を始めた。

「皆さんに異世界に来てもらったのは、この世界に復活し、邪悪をふりまき、世界を絶望に陥れた邪神を討伐してもらうためです。地球の高校生には創世神レヴェナ様の特別な加護を所持している人、『神の使徒』が多く、神の使徒は邪神に対抗できる唯一の人類の切り札とされています。なので皆さんには地道に邪神の配下であるモンスターを倒し、その時に得られる経験値というものを集めて、強くなって、世界を救っていただきたいのです」

 クラスがざわつく。

 いきなりどこかもわからない場所に転移させられたと思ったら、世界を救ってくれなど無茶にもほどがあるだろう。さらに、邪神だの、モンスターだの、いきなり言われても何かわからないという様子のものもいる。

 そらのように「RPGみたいなせかいきたぁぁあーー!!」楽観視をできるような状況では決してないのである。

「ちょっと待ってくれ、そこの……巫女…ちゃん?、おうちの人呼んでもらえるか、状況を理解したいのだが……」

「というかそもそもどういうことだ?なんで小学生みたいな見た目のガキがこんな場所にいるんだ?」

「こうなってしまった原因とかここがどこなのかとか何か知っているんでしょうか」

 祐希と花凪、浩太郎で目の前の小さな女の子から情報を聞き出そうとする。

「どういうことだ……?なんであんな小さい女の子が世界を救ってくれだの言っているんだ……」

「この火の玉とか本物……? わ、熱いし、本物なのかなぁ……」

「むむ……稚児の戯れ……ということでござるか?それなら早く拙者どもを返してほしいのでござるが……」

「もしかしてこれ転生して、チートスキルで「俺TUEEE!」するやつか!?ふぉおおお!異世界最高!」

「認めたくないけどこれまでの超常的な現象を見ると、地球と異なる世界と認めるしかなさそうね……」

 異世界などという非科学的な物は存在するわけがない。女の子が言っている内容はでたらめだという人間と、異世界ヒャッホウ!ってなっている人間(そらなど主に男子)と認めたくはないが異世界のようだと現実を受け入れるものでで3:1:6くらいのようだ。

 そらは異世界物の創作物を見すぎて現実と想像が混合しているためあまり焦ってはいないが、普通はドッキリか誘拐かなにかだと考えるだろう。

 まだデスゲームだと言われたほうが信じられる。

「あなたたちは突如現れた謎の模様に吸い込まれ、気づいたらここにいた。……そうでしょう?あれは別世界からの者たちを運ぶゲート…そしてあれは再び開くことはありません」

 巫女が驚くべきことをサラッと口にする。

「え、か、帰れない……?」

「え、じゃあ本当にゲームみたいな討伐作戦にミーちゃんたち参加させられるってこと!?」

「うそだ……ウソダ〇ンドコドォォン!!」

 先ほどの三割ほどの人間がパニックになりかける。異世界ヒャッホウ!ぐみは余裕そうだ。

 別世界と聞けば不安になるのも当たり前だろう。もしかしたら荒れ果てた場所で、水を得るのも難しい世界だったら…安全に休める場所すら存在せず、ただひたすら精神をすり減らしながら冒険しなければいけなかったら…不便な可能性のある世界に放り投げられ、元の快適な世界に戻れないとなるとパニックになるのは普通。人間快適なものに慣れてしまったら不便な方に戻るのは難しいとはよく言う。さらに二度と親の顔を見れないとか、ゲームができないとか、服を着れないとか、そういったやり残したことができないというのも普通につらいことだろう。

「ですが、あなたたちがもし、邪神を倒してくださったら、話は別です。創世神レヴェナ様の加護の元、元の世界へと返すことを約束いたしましょう。」

その一言を聞くと、絶望していたものたちの顔に希望が灯り始める。だが、依然として、あまり顔色はよくない。

 巫女は、そうとだけいうと、こちらを上目遣いで見つめていた。が、その瞳はどこか品定めをするような色があった。

 すると、困った人は放っておけない!われらが勇者、祐樹君は、

「みんな! 帰れないっていうんだったら、この人たちのいう、邪神?を討伐してからでもいいんじゃないかな? みんなで正義のヒーローになろうよ!」

 とさわやかなイケメンスマイルを浮かべながら言った。

 ぶっちゃけ、これ以外に何もしようがないからこれを承諾するしかないのだが、それを快く承諾すると、巫女は、嬉しそうにスキップをしながら、別室へと案内を始める。


「ふふっ 私のお人形さんたちげーっと♡」

次の投稿は土日のどちらかになると思います

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