図書室の窓から
閉じ込めて殺す
封をして沈める
無かったことにする
存在しないものとして扱う
図書室は
勉強をする場所で
教科書や参考書を手に
皆は忙しくペンを走らせる
それなのにあなたは
本を読むために
ここに来る
閉じ込めて殺す
封をして沈める
無かったことにする
存在しないものとして扱う
カーテンが風に揺れ
図書室の窓から
光が射し込む
眩しかったのだろう
近くにいた誰かが席を立ち
窓を閉めた
閉じ込めて殺す
封をして沈める
無かったことにする
存在しないものとして扱う
雑多なジャンルを読む人だな
ある日ふと
そう思った
貸出カードに並ぶ
規則性のない本のタイトル
この人はいったい
何を『面白い』と思うのだろう
返却されたばかりの本を
パラパラとめくった
閉じ込めて殺す
封をして沈める
無かったことにする
存在しないものとして扱う
貸出カードに書かれた文字が
とても綺麗なことに気付いたとき
呼吸が少し浅くなった
目を伏せ
視界から排除して
「返却期限は一週間です」
機械的な応答に努める
「ありがとう」
いつもと同じようにそう言って
あなたは図書室を後にした
閉じ込めて殺す
封をして沈める
無かったことにする
存在しないものとして扱う
カーテンが風に揺れ
図書室の窓から
光が射し込む
眩しさに耐えかねて
私は席を立ち
窓を閉めた
閉じ込めて殺す
封をして沈める
無かったことにする
存在しないものとして扱う
溢れてしまう前に
閉じ込めて殺す
表層に浮かぶ前に
封をして沈める
自覚する前に
無かったことにする
私の中に位置を占める前に
存在しないものとして扱う
この想いに
名前がついてしまう前に
始めなければ、始まらなければ、わずかな虚しさを飲み込むだけですむのだから。




