知っていますか
ねぇ、知っていますか?
あなたが私を好きでいてくれるように、私があなたをこんなに好きだってこと。
毎日帰ってきたら必ず口付けをくれて、抱きしめてくれて。それからご飯を食べて、一緒に遊んで、お風呂に入って、並んで寝る。
一日の大半を一人きりで過ごす私の世界で、その時間だけが鮮やかに色付いていることを。
本当はもっと傍に居たいけれど、あなたが決まって困った表情で笑うから、我慢することを覚えました。
知っているんだよ。
あなたが私の為に、頑張って働いていることを。
辛いことがあっても、悲しいことがあっても、精も根も尽き果ててしまっていても、私の前ではいつも笑顔。
あなたは知らないでしょう。
そんな所が、大好きなことを。
隠せていると思っているのかも知れないけれど、知っています。
だって、私はずっとあなたを見ているから。
だから、そんな時は目一杯抱きつきます。
あなたの辛さが、悲しさが、疲れが。私の中に流れ込んで、少しでもあなたの荷が降りますようにと。そう願って。
何もしてあげられない私を許してください。貰ってばかりの私を許してください。
私にあげられるのは、この胸に溢れる、目には見えないこの気持ちだけ。
あなたの帰りを、一秒でも早く出迎える。そんなことだけ。
そんな私の気持ち。
「ただいま!」
「ワン!」
あなたは、知っていますか。