日本より:システム“ギルド”
「いくぞーー!!」
大声と共に市役所内部を目指す。突然のことに自衛隊員たちは判断が遅れてしまう。この間に少しでも俺たちは市役所との距離を詰める。しかし、一人、また一人と自衛隊員に捕まっていった。だけどそのおかげで、もうあと少しで市役所に・・・!
「こら!止まりなさい!」
前方に一人両手を広げて立っている。けど、俺はスピードに乗ってしまっている。
(ヤベ、ぶつかる!)
「ダメー!」
横から彩が前方の自衛隊員に向かって、飛びかかる。スピードを乗せた彩にぶつかられ、自衛隊員は地面に倒れこむ。最後の障害が消え、そのまま俺は市役所にゴールした。・・・がしかし、中にも自衛隊員はおり、俺は捕まってしまった。だが、俺は諦めず最後の足掻きとして思いっきり叫んだ。
「あの大きな穴はなんだ!ジョブってのは何なんだよ!!お前は何なんだ!!!」
すると、機械的な声が返ってきた。その声に、自衛隊も興味を惹かれ静寂が訪れた。
『質問を確認しました。ではまず一つ目の質問から、大きな穴というのは通称“ダンジョン”です。異界の生命体が住まい、この星では未知の物質で構成された空間です。これを攻略することが当面の人類の課題となることでしょう。人類の進化のために。そして二つ目の質問、ジョブというのは今のあなたに最適な役柄です。ジョブは決められた類の道具を使うことや最適な場所で真価を発揮します。なお、先に全人類に伝えたジョブはその人に最適な役柄から一つランダムに選ばれたものなので、ギルドを通してジョブの変更が可能です。そして最後の質問について、私は自律式システム“ギルド”。ダンジョンの情報、クエストの掲示、ジョブに対するサポート、アイテムの交換などの様々なシステムをまとめてギルドとなっています。尚、同システムが各地に存在しています。私は自律式となっていますが、私一機では多人数の相手にした際、不手際を出す可能性が高いので、職業がギルド職員の方は、是非私たちを手伝ってください。以上があなたの質問に対する答えとなっています。少しでも役に立てたのなら幸いです』
ギルドが説明し終えると、自衛隊も何をすべきかを思い出し、俺たちを市役所の外に集めて、厳しく注意を始めた。注意だけで終わったのは本当に幸運だった。だけれど、そんな注意なんて耳を右から左に抜けていき、さっきのギルドの説明について考えることに集中していた。正直言っていることはほとんど現実味がなかったが、ギルドは俺たちに必要になるシステムだということは、質問に答えてくれたことや内容から、一部だけだけれど分かった。
そして15分ほど注意を受けて、自衛隊に車でまたあの施設へと送られた。車内で彩にギルドのことについて聞かれ、さっきのことを話す。
「少なくともギルドの機能については世界中の人に知ってもらう必要があるわね」
確かにそうだ。いきなりギルドとか言われても誰もが分からないはずだ。
「全部ネットに流そうぜ。そしたら今みたいな混乱の状況が変わるかもしれないぜ」
「そうね、ネットに流しましょう。そのためにも市役所まで行ったんだから」
そうして俺たちはネットにこの情報を流した。この情報が大きな騒ぎになるとも知らずに・・・
ネットにギルドの情報が流されてから、一日もせずに人々はギルドに押し寄せていった。どうやらギルドは全ての市役所に開設しているらしく一点集中の大騒ぎにはならずに済んだものの騒ぎは大きい。騒ぎが収まるまで長い時間がかかったが、ジョブがギルド職員の女性が試しに受付に入るとギルドの情報が手に取るようにわかったのだという。
それからは月日は経ち一部のギルドではボランティアとしてギルドの仕事を手伝うギルド職員が現れ始めた。ギルド職員の対応は自衛隊や国が行うものより優れていたため、またよりこの不思議な現象についての情報が得られることが分かっていったため、ギルドとギルド職員は段々と世間へ認められていった。
ギルドとなった市役所も一般の市民が入れるようになり、ギルドというものが身近となった。そしてそれが意味することは人々とダンジョンの距離も必然的に近くなっていくということだ。
日々に変化が絶えない現代、人々は自分のジョブに合った道具や場所をギルドで教わったり、見つけていったりした。ダンジョンすら身近になっていく日もすぐそこまで迫っていた。