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ポイント制

 初対面の人間と行動する場合に必要なことは何か?

 まずは、お互いの能力を理解することだと俺は思う。

 適材適所、誰がどの役割を担当するのか。

 俺の異世界転生計画のため、クレアが出来ることを把握する必要がある。


「クレア、君が出来ることを述べよ! 5秒以内だ」

「はい! 昼寝です! 漫画を読むこと! それと、異世界の外枠が作れます!」

 

 前半は趣味だろ、それ。

 後半は材料を用意できるが料理は出来ません、としか聞こえん。

 

「呆れた顔しないで下さい! じゃあ、悠斗さんは何が出来るんですか?」

「おっぱ、……」

「きもっ!」

「おいおい! まだ、何も言ってねぇだろうが!」

「どうせ、おっぱいなんですよね、ねっ!」

「おっぱいです。御免なさい……」


 結論、二人共クズだった。

 能力は大目に見よう。

 そんなことより、大きな偉業を成し遂げるために必要なことは何か?

 ゴールまでの道筋を明確にすることだと俺は思う。

 どんな物事でも道順が分からなければ、路頭に迷ってしまうことだろう。


「クレア、……」

「きもっ!」

「お前、お約束作ってんじゃねぇぞ、コラ!」

「す、す、すみません、続きをどうぞ」

「全く……、具体的にどうやって異世界を構築していくんだ?」

「女神によって方法は違いますね。えーと、うーんと、説明できないです」

「友達いないし、馬鹿そうだからすぐに答えられないんだな」

「はい、そうです」

「肯定が早い! もうちょっと、粘れよ!」


 馬鹿な女神に一生懸命ヒアリングすること一時間くらいかな。

 具体的な流れは何となく把握した。


 第一、死を予言する名簿から対象者を選択。

 第二、事前に対象者に合わせた異世界、スキルを構築。

 第三、対象者が死んだら、異世界にご案内。

 第四、対象者が異世界で幸せな余生を送ることが出来るとポイント獲得。

 第五、次の異世界転生に向けて、ポイントを使用して事前準備。

 第六、第一に戻り、ループ。


 但し、多分に嘘が含まれていそうなので鵜呑みにはしない。

 俺の担当女神はお馬鹿だからだ。

 あと想像の範疇だが、謎のポイントとか呼ばれるヤツが肝だな。

 ポイントを大量に利用しないと、リッチな世界もスキルも作れないとみた。

 するべき最優先事項はポイントを貯めること。

 そのために、俺以外の転生者を呼び、幸せだと感じる世界を作る必要がある。

 そして、ラストに大量ポイントを使用した俺の望む世界を構築すればいい。

 追々、何故ポイント制なのかも調査しないとな。

 それが女神のルール、理なのです、とか言われたらそれまでだが……。


「ちなみに、クレアは何ポイント持ってるんだ?」

「よ、よよ、よん……」

「4な。それだけじゃ、何も出来ないんだろうな」

「失礼な。400ですよ。転生者に簡単なスキルを渡すことくらいはできます!」

「なら、大事に使わねぇと。世界構築に失敗して、クレアが消えたら俺も死ぬし」


 方針は大体決まった。

 だが、もう一つ残された謎を考えておく必要がある。

 誰が何の目的で俺をクレアのところに送り込んだのか、だ。

 クレアは消滅宣告を受けて400年間ずっと引き籠っていた。

 俺を呼び出すわけが無い。

 他の女神、または女神より上位の存在が俺を送り込んだ可能性がある。

 

 その理由は何か?

 女神なのに仕事しないクレアに業を煮やし、無理に使命を全うさせようとした。

 もしくは、最後の失敗を誘発させてクレアを消したかった。

 前者は分かるが、後者だとしたら厄介極まりない。

 俺がここに来た経緯については、クレアに尋ねないでおいた。

 杞憂ならそれでいいが、裏に陰謀があるのなら秘密裏に警戒しておきたい。

 神と名の付く連中の能力で、話声を盗聴されても困る。

 心まで読まれるのであればお手上げだな。

 その時は降参だ。

 変態おっぱいソムリエと馬鹿女神が夫婦漫才している風に思わせとく。

 いや、一部撤回。

 伝説のおっぱいソムリエだな。

 不穏な気配があるかないか分からんが、とにかく善は急げだ。


「よし、クレア! まずは、基礎となる異世界を作ろうぜ!」

「が、頑張ります!」


 両手を前に頑張るぞ、のポーズを取る女神。

 見た目は可愛いんだけどな。

 胸が歪なのと頭が残念極まりない。 


 何はともあれ、世界を構築していくとしよう。

 ハイファンタジーな世界か、はたまたローファンタジーな世界か。

 テンプレをなぞるなら、なんちゃって中世ヨーロッパだよな。

 色々と考えつつ俺は、馬鹿な女神と世界の創造から始める。


 やはり、駄目女神。

 例の如くすんなりいく筈も無いことを、俺はすぐ知ることになる。


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