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一日~三日目

 俺達の最初の目標はこうだ。


 一日~三日目

 先住民の作成。最低三十万人は欲しい。

 江戸の都市機能を維持させるための、最低ライン。

 方法は不明。クレアお前が頼みの綱だ。出来ないと水平チョップ。


 江戸の舞台は転写によりコピーされている。

 但し、知的生命の複製は倫理的観点から不可能らしい。

 クローンを量産するのは禁忌とされているのだろう。

 ここで、女神が知的生命を異世界に生み出す手法の一例を紹介しようと思う。

 他にもあるらしいが、俺達は次の方法を使用する。


 第一、仮魂(かりだま)による先住民の作成。

    絵や人形、映像などに仮魂を注入することで人の形を成す。

    与えられる人格は簡素で、本能的、思考的、感情的の三つに分かれる。

    また、単純な軽作業程度しか行えず、ロボットに近い。


 第二、反魂(はんこん)による先住民の人格形成。

    仮魂と反魂が組み合わさることで知的生命体としての人格が芽生える。

    仮魂時の記憶はこの時点で消失する。

    喜怒哀楽が生まれ、コミュニティを作る等の動きが活発となる。


 これらを踏まえて俺達は今、何をしているのか。

 先住民量産計画から、丸一日経過して今日で二日目。

 俺とクレアの目の前には壮観な光景が繰り広げられていた。


 仮魂を与えられた先住民達が何列にも並んで絵を描いているのだ。

 一人一人に与えられた役割は簡素なモノ。

 顔の輪郭を描く。

 唇を描く。

 左目を描く。

 両眉毛を描く。

 ――といった具合だ。

 仮魂を与えられた先住民達は軽作業しか出来ない。

 そのため、一つの作業に特化させることで、効率化を計ってみた。


 絵を描いたら、次の人に紙を渡し、前の人から紙を受け取る。

 ひたすらにそれだけを繰り返すよう指示する。


 少なからず個性もあるので作業遅れが発生することもある。

 それも、お助け役を複数人巡回させることでフォローするようにした。


 そして、列にも特定の役割を与えるようにしている。

 10代の男を描く。

 20代の女を描く。

 年齢層や性別によって描く対象を分けたのだ。

 列も一時間で左右を入れ替える。

 携わる人の組み合わせを変更することで絵に個性が生まれるよう工夫した。

 

 そうやって作成された沢山の絵に仮魂を入れ、作業者はどんどん増える。

 問題となるのが絵を学ばせることである。

 これも、先住民を教師役とすることで解決している。

 教師役も、目を描く、口を描く、というように一つの教えに特化させている。

 授業は複数人まとめて行うようにしているため、教師役は少数でいい。

 

 まるで工場のパイプラインのように滞りなく作業が進んでいく。

 クレアはその光景を見て、


「凄いですね。人が増える程、効率が上がっていきます」

「今日までは白の空間で作業させるけど、明日は江戸で作業させるつもりだ」

「どうしてです?」

「異世界って時間操作が可能なんだろ?」

「えっ? 何で知ってるんですか! スパイっ、女神スパイがいます!」

「二カ月先しか見えない天命名簿なら、時間操作は必須機能だと思うが?」


 女神は転生者に合わせた異世界を構築する。

 異世界も地球と同じ時間軸で進むと、違和感だらけの世界になることは明白だ。

 最長で二カ月の歴史しか持たない世界。

 結果、先住民全員の過去は空白だらけ。

 そんな世界おかしすぎる。


「時間操作も制限あるだろ、クレア?」

「それも当たってます。こわっ、何だか、悠斗さんが恐ろしいです」

「普通だけどな。何十万年も時間操作可能なら、超未来技術が完成しちゃうし」

「うっ、確かに」

「それで、実際に操れる時間ってどのくらいなんだ?」

「一つの世界が耐えられる時間加速は千年くらいですね」

「意外に多いな。その三分の一程度だと思ってた」


 クレアの話を聞くと、時間加速は先住民達の身体に大きな負荷を掛けるらしい。

 結果、思考や動きが衰え、文化・技術の発展が遅くなるのだとか。

 熊が半冬眠しているような感じか?

 種の交配などは進むが、世界の発展は著しく遅くなってしまう。

 そして、恐ろしいのが千年の時間加速を超えると異世界が崩壊するという事実。

 そんな世界を酷使するような使い方をするつもりは毛頭無いがな。


「転生者が違和感の無い世界を体験するために利用する、それ以外は原則禁止な」

「……そ、そうですね! それがいいと思います!」

「お前、如何わしいことに使った経験があるだろ……」

「し、宿題を終わらせるのに篭ったことはあります……」

「女神にも宿題があるんだな……」

「管理する世界の一覧を出せって言われて、何も無いから逃避してただけです!」

「自信満々に言うな。俺と居る時は意味の無い時間操作は禁止だからな」

「はぁーーい(少しくらいならバレないもん)」

「両頬つねるぞ」

「ふぁっ!? いつから、心まで読まれる様になってしまったです!」


 いや、顔にめっちゃ出てるから。

 悪巧みしている分かり易い馬鹿面が……。

 取り敢えず、世界を彩る住人達はかなりの人数を用意できそうだ。

 次のプランに向けて動くとしよう。


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