特技
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大学三年の春、俺は死んだ。
理由は簡単だ。
"おっぱい"ソムリエだったことが災いして死んでしまったのだ。
死んだ経緯より先に、俺が至高のソムリエだと断言する理由について語りたい。
今思えば、人生の大半を掛けて没頭していたことが分かる。
子供の頃、美術展に飾られた裸婦画の神々しさに心奪われてしまった。
嘘だと思うのなら一度は見て欲しい。
ネット上でも、美の極致ともいえる数々の裸婦画を見ることができるだろう。
人類が神から授かりし"おっぱい"を極めるため、日夜修行に励む毎日。
美術大学に通う俺は主に裸婦画を中心に絵を描き続けていた。
やましい気持ちは全く無い。
画家として、ただ美しいと思ったモノを描く。
たまたま裸婦画、特に女性の胸だったというだけの話だ。
それに将来、この手の絵を売ることで生きていこうと本気で考えている。
だからなのだろうか。
胸を描き続けた結果、俺はある能力を使用できるまでに成長していた。
おっぱい神経衰弱。
女性の顔と胸の写真を別々に置いて、当てることができる能力だ。
一回覚えた女性と胸の組み合わせは忘れない。
誤解しないでほしいが決して変態ではない。
同じジャンルの絵を描き続けた結果、身に付けた観察眼だと思ってほしい。
朝一、大学に行くと沢山の女子大学生がいる。
俺は心の中でこう挨拶するわけだ。
「B神様、今日もおはようございます」
「うおぉぉぉぉ、G神様! 今日もアナタは最高に美しい」
アルファベットはカップ数だ。
俺は女子と仲良くなれるようなキャラじゃない。
名前を知る女生徒も少ないため、ついカップ数で呼んでしまう。
そんな感じで、裸婦画を描き続けながら悠々自適な大学生活を謳歌していた。
そう、あの日を迎えるまでは……。