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中本 芙蓉は、色気のある美人だ。
それは同級生とは違った、大人の魅力だ。
セクシーなチャイナドレスに、シニョンの髪型。
短い髪型のお団子は、彼女の正装なのだろうか。
薄暗い部屋に、中本が光のごとく差し込んだ。
「お前は、どうして」
「あら、私の城にようこそ」
「お前、雲吞か?」
「あら、わかったのね」
それは、若葉に聞いた言葉だ。
中本のそばに、大柄の男が寄っていた。
どうやら二人は、仲間だ。何やら俺の前で、ヒソヒソと話している。
日本語ではない、英語でもないな。
「解放してあげて」
中本の一言に、手を縛っているロープをほどいた男。
それでも足は、俺の座っている椅子に縛られたままだ。
「何のつもりだ?」
「さあ、連絡して」
「若葉にか?」
「ええ、助けてって、間抜けで弱った感じを見せて」
中本が俺のスマホを差し出す。
そのスマホ画面は、ロックがかかっていてパスワード入力画面だ。
「なるほど、俺にパスワードを解けってか?」
「ええ、そうしないと」
そんな中、俺の真横をかすめるのが銃弾だ。
中本の後ろには、男が銃を俺に向けて構えていた。
「殺す」中本は、不逞な笑みを浮かべていた。




