095
俺は大きな物音で目を覚ました。
それは、大きなクレーンが動く音。
目を覚ました俺の前には、女の子……じゃなくて男がいた。
「目覚めたか」
タンクトップシャツに赤いバンダナ、迷彩柄の男は椅子に座っていた。
腕が太く、筋肉質の体がシャツから見える。
何より、彼の手元には銃が見えた。
「ここは?」
「お前は、拉致された」
「拉致?」
俺はその言葉を理解できなかった。
だけど俺が置かれた立場を見たら、理解するしかなかった。
「手足が縛られている?」
「そう、お前の体は自由がない」
「俺はなぜ……中本と公園にいて殴られた」
それは一撃を食らって、俺は気を失った。
中本の大きな手が、俺の腹を、溝内を殴りつけた。
その一撃があまりにも大きくて、俺は意識がそのあとはない。
そんな男は椅子から立ち上がった。
「ほら、これ」
「なんだ?」差し出してきたのは、俺のスマホだ。
どうやら俺は、通学カバンも奪われたらしい。
制服は着ているものの、荷物は男が座っていた椅子の近くにある。
「電話しろ」
「電話?」
「助けを求めるんだ」
「誰に?」
「四十万 若葉」
その名前を聞いて、俺はハッとした顔を見せた。
むさくるしい男は、俺にスマホを近づける。腰に銃をぶら下げて。
「さあ、かけろ」
「腕が縛られているんだが?」
俺の背中には、腕が縛られている。
すると俺の腕を、無理やり前に引っ張っていた。
「いててっ、肩が外れる」
「我慢しろ」
「我慢なんか……」腕を無理に腕力で引っ張る男。
肩が、今にも外れそうだ。
「彼はノーマルよ」
そういいながら、奥から声が聞こえた。
その声は、女の声で俺がよく知っている声だ。
「その声は、中本か?」
そこには、中本がチャイナドレスを着て現れた。




