094
中本のこんな顔を、見たことは初めてだ。
落ち着いた顔で、俺の方に顔を向ける。
その顔は、中本の意外な顔。
いや、この顔が本当の彼女の素なのかもしれない。
「再葉と同じって、まさか不死者?」
「そうね」驚くことなくいう中本。
「だからお前も、その世界の人間だというのか?」
「ええ」
「じゃあ、お前は再葉と一緒にいたのか?」
「一緒にいたけど、引き離されたのよ」
「え?」俺は驚いた顔を見せた。
「四十万 若葉、彼女が裏切ったのよ」
「そうか、若葉さんが」
「知っているのね、その様子だと」
「ああ」俺は若葉を、知っている。
その若葉は、ある組織から再葉を助け出した。
それは中本のいる組織だというのだろうか。
そして、俺はその若葉の組織に勧誘された。
「あなたは四十万 若葉の言葉を、信じているの?」
「若葉の言葉?」
「若葉は嘘をついている、あたしは真実。
あたしは再葉を探していて、助け出したいの」
「そうか」中本は、真剣な顔で俺を見ていた。
「本気なのか?」
「本気、だって再葉はあたしの大事な仲間だから」
「再葉のいた組織だけど……あれはなんだ?」
「あたしたちは、一つのオリジンから作られたの。
最も、あたしは再葉よりも劣等生だから」
美来は失敗だと言って、再葉は成功だといった。
中本は劣等生で、再葉は優等生だという。俺には理解できない。
「劣等生、どういう意味だ?」
「抜けているの」
「何がだ?」
「人間的な感情が」
そんな中本は、口元に笑みを浮かべた。
そのまま中本は、俺の頭をつかんだ。
女の手とは思えないほど、急に右手が大きく見えた。
「な、中本……」
「あなたは、再葉の餌よ」
そういいながら、大きく膨れ上がった中本の手が俺の頭を握りつぶそうとしていた。
それと同時に、俺は意識を失っていた。




