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一年彼女  作者: 葉月 優奈
七話:一年彼女の隠された秘密
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翌日の夕方は、バイトの日だ。

ショッピングモール内のファーストフード店の厨房、そこが俺の仕事場だ。

厨房から休憩所に行く時だけが、俺の至福の時だ。


その休憩所には、響がいた。

いつも通りの、店員服でハンバーガーを食べ終えたところだろうか。

「響、いたのか」

「うん」

「どうした?」

「中本さんとは、いつも仲がいいのね」

響は、俺に不意に聞いてきた。

香音のことを尾行して以来の久しぶりの会話、響の心は落ち込んだままだ。

再葉のいないこの状態は、彼女に暗い影を残したままだ。

だから、俺は話すことができなかった。


「ああ、いろいろあってね。まあ今は、そこまで仲が良くもないけど」

「そう、あのさ」

「なんだよ?」

「再葉にそっくりな子が店に来たの」

「え?」響の言葉に、俺は驚きがあった。

俺の知っている再葉は、今は記憶を失っている。

若葉に保護されていて、化け物になっていた。


「そっくりって?」

「そっくりな子、でも違う。あれは再葉じゃないわ」

「そうか」少しビビったが、俺は納得した。

響は、罪悪感によって再葉を見ているのかもしれない。

いじめたことの罪は、彼女の中では消えないのだ。


「まあ、そういうこともある。

でも、本当に響は後悔しているんだな」

「あの子は強いと思っていた。

いじめられても、平然としていたから。

だけど、違う。あの子は強くなんかない」

「そうだな、今度はちゃんと会えるといいな」

「うん」響は、今でも元気がない。

そんな響を、俺は慰めるしかできなかった。


「あ、接客っ!誰か出られる?」

そんな時、店の方から大きな声が聞こえた。

「はい、あたしが出ます」

そういいながら、響が立ち上がった。

心なしか少しだけ笑顔を見せた響は、そのままドアの方に向かっていった。



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