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一年彼女  作者: 葉月 優奈
六話:一年彼女を知る転校生
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車の運転をしている若葉は、少し見慣れた場所に来ていた。

ここは、香音を前に尾行していた時に歩いた住宅街だ。

磐田市内にある住宅街で、道は少し狭い。


「俺の記憶を忘れさせて、どうしたかったんだ?」

「あなたに、この世界に来てほしくなかった」

「それは香音も、そういっていたな。世界がどうとか……」

俺の後ろには、香音も乗っている。


「私たちのいる世界は、危険なの。

普通の人間は一発で殺されてしまうような、あなたのような普通の人が立ち入ってはいけない世界」

「どんな世界だよ?」

「闇の世界、裏の世界」

「闇?裏?」

「言い方はいろいろあるけど、要はあなたの知らない世界よ」

「知らない世界」

「それは、化け物が住む世界」

若葉の言葉に、俺は首を傾げた。


「化け物?」

「ええ、再葉は化け物だから」

「なんだよ、再葉は普通の女の子だ」

「初めは化け物だった。価値のある生き物だった」

「どういう意味だよ?」

「再葉は、特別だから。彼女の腕力や力が、普通の人間のはるか上。

オリンピックの重量挙げの選手よりも、強い腕力があるわ。あなたは心当たりがない?」

「ない……こともない」

再葉が俺の腕をとった時に、強い力で握ってくることもある。

その強さは、女子の腕力とは思えないほどの強い力だ。


「あの子には、力を落とすように言ったのだけど。

本気であなたの腕をつかめば、あなたの腕は完全に骨折、運が悪ければバラバラに砕けてしまうわ」

「マジ、かよ?」

「それが、再葉は化け物である理由」

「それ以上に気になるのが、価値のある生き物というのは?」

「再葉を狙っている敵よ」

敵という言葉にも、聞き覚えがあった。


「再葉は、何に狙われているんだ?」

「敵、彼女はある場所から連れ去ったのよ」

「連れ去った、物騒だな?」

「彼女の価値を消すためだから」

後部座席から、顔をのぞかせたのは美来だった。

その顔は、いつも通りのかわいらしい子供の顔をしていた。


「再葉の価値を消すって、一体どういう意味?」

「しょうがないわね、美来と再葉の話をしてあげるわ」

それは美来が、俺に見た目通り上から目線で話してくるのだった。



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