077
俺の目の前には、土の中で眠る少女がいた。
土の中では、再葉が眠っている。
それはまるで、童話の眠り姫だ。
静かに眠る再葉に、俺は手を伸ばした。
「再葉っ、起きろよ!」
俺が再葉の顔に手を伸ばす。
再葉は、俺の声を聴いたのか目を開いた。
それは大きなつぶらな瞳。
「あなたは?」
「再葉っ、生きているのか。マジか、再葉……」
俺は、再葉の頬に手を抱き寄せた。
そのまま、再葉に俺は抱きついた。
「あなたは?」
「俺だよ、健斗だよ」
「健斗?誰?」
「再葉、俺を忘れたのか?」
再葉は、感傷に浸る俺と対照的にとても冷めた顔を見せていた。
俺はそれでも、彼女を抱きしめていた。
「再葉、俺だよ!健斗!」
「無駄よ」
そんな言葉を、俺の上から冷たい言葉を投げかけたのは美来だ。
「美来?」
「再葉は、記憶を失っているの」
「どういうことだ?」
「彼女が望んだことだから」
「再葉が望んだ?」
「そう、彼女が行ったことで彼女は記憶を失った」
「どういう意味だよ?」
俺の腕の中には再葉がいる。
その再葉は、呆然としたまま俺を見ていた。
「私は記憶がないのです」
「そうか、再葉」
「だから、あなたに頼むしかないの」
言ってきたのが、美来だ。
「俺に頼むってどういう意味だ?」
「そろそろ来たわ、詳しくは……」
そんな中、俺たちのいる神社に一台の車が止まった。
その車から出てきたのは、スーツ姿の若葉だった。
「私の車で、大事な話をしましょう」それはタワーの時と同じ誘い文句で言ってきた。




