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軍人がいなくなった俺と香音は、再び段差のある土の階段に戻った。
軍人の姿を、何度も確認している香音。
人の気配がないのを見て、上の方をじろじろ見ていた。
「いきましょ」
「ああ、あれはなんだ?」
「香音たちの敵」
「敵?」敵という言葉を、どこかで聞いたことがある。
そうだ、若葉さんがそんなことを言っていたよな。
「敵ってなんだよ?」
「見えたわ、あの社、美来様」
そういいながら急勾配の土の階段を上ると、上には社が見えた。
社の先には、一人の女の子がいた。
長い髪の、白のシャツに赤い長ズボンの女の子。
「美来っ、久しぶりだな」
「お前は……そうか香音から聞いたのだな」
「ああ、ここに再葉がいるんだな」
「そう、いるの」
美来は、静かに頷いた。
再葉と一緒に暮らす女の子、だけどこの美来という子はどこか大人びていた。
まるで香音と同じような、そんな雰囲気さえあった。
「美来様、それで再葉様はどこに?」
「そうね、彼女は隠したの」
「社にですか?」
「社は囮よ、美来は再葉を隠せる場所があるから」
そういいながら林の奥の方に、向かっていく。
美来に言われて俺と香音が、ついていく。
「ここに」それは何気ない地面だ。
少し広い空間だけど、木が立っているだけの林だ。
そんな空間でしゃがみこんだ美来が、穴を掘り始めた。
「穴?」
「ええ、そうですね」
美来が猛スピードで、穴を掘り始めた。
高速で掘り始める美来は、なんだか土木機械のようにも見えた。
だけど、その穴を掘って三分後、一人の人間が土の中から出てきた。
そこには、俺が見たことのある女の子が姿を見せた。
それと同時に、俺は驚くしかなかった。
その土の中からは、再葉が出てきたのだから。




