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バスから降りると、そこは畑が広がっている。
広がる畑に、車道がある。
少し先には民家が何件かポツポツ立っているが、かなり田舎だ。
こんな場所を、俺は香音と二人で歩く。
「どこにいくんだ?」
「ここで起こることを、あなたは口にしてはいけない」
「え?」
「誰にも、しゃべらないことを約束して」
香音の顔は、いつにも増して険しい感じがする。
「しゃべらないけど、再葉がいるのか?」
「あなたの目で確認して」
「そうか、わかった」
俺は香音の要求を、受けることにした。
再葉に会えるなら、なんだってしてやってきた俺だ。
その要求を聞くことぐらい、俺は難しくはない。
「で、どこまで?」
「この先……ここ」
香音が指をさしたのは神社だ。
しかし、そこは廃れた廃神社。一見すると木々に隠れて鳥居も、ない。
だけど小高い丘を切り崩したその上には、社がしっかり見えた。
「なんだ、ここは?廃神社?」
「この辺りに再葉はいる」鳥居があったと思われる丸太を横目に、香音が上がっていく。
それについていくように、俺も香音と一緒に登っていった。
「どうして?」
「誰かがいる」
数段上って、香音は上の方に気配を感じた。
すぐさま、香音は俺の手を引っ張った。
「香音、どうした?」
「音を出さないで」
「え?」そのまま、近くにある茂みに隠れた。
それから間もなくして、俺たちが昇るはずの神社から足音が聞こえてきた。
それは、二人の軍人だった。




