073
その日の放課後、俺は学校に来ていた香音を追いかけていた。
学校に着いて下駄箱を開けると、中には手紙があった。
その手紙は、俺に対する招待状だ。
その招待状に書かれた場所を、俺は向かうことにした。
差出人は、香音だ。
香音が突然俺に、連絡をしていた。
俺と一緒に、バスに乗っている。
「香音……なぜ俺を誘った?」
「あなたが、とても不憫だと思ったから」
「中本のことか?」
「そう、彼女は危険よ」
香音が冷たく言ってきた。
このバスには、俺と香音しか乗っていない。
二人きりの空間は、香音の家の方に走っていた。
「危険って言われても」
「あなたは言いなりになっている」
「そっちが、何も教えないんじゃないか」
「だから、あなたには近づいてほしくない。
中本 芙蓉、彼女には特に……」
「なぜ、俺が中本と一緒にいてはいけないんだ?」
「彼女は危険だから」
「意味が分からない」
「あなたを、破滅に導こうとしている」
香音は、いつも真剣な顔で言う。
表情も声のトーンも、ほとんど変わらない。
「俺が破滅?そんなことをするのか?」
「ええ、破滅。命の危険だってある。
だから、本当は再葉があなたに世界を見せたくなかったの」
「それ、どういうことだよ?」
「ここで降りるから」
そんな中、香音の家に着く前の停留所で降車ボタンを押す香音。
「え、ここ?」
「仕方ないから、あなたに会わせてあげるわ」
「もしかして……」
「その代わり約束して、中本 芙蓉と手を切ることを」
香音は、俺の方にしっかり向いたまま言ってきた。
俺の手をつないで、はっきり香音が顔を上目遣いで見ていた。




