072
中本姫のとてもわがままだ。
俺はマンションを出たのは、あれから一時間後。
そんな中本と俺は、住宅街を走っていた。
学校行の電車は、これを逃すと完全に遅刻だ。
電車に乗り遅れないように、俺は走っていた。
「でもでも、いいじゃない」
「何がだよ、寝坊助姫」
「あら、そんなことを言うと再葉のことを教えないわ」
「ちっ」俺は舌打ちしながら、中本に従っていた。
中本は、俺をゆすっていたのだ。
中本は、俺が再葉のことを知りたがっているのを知っている。
そして、それを利用して俺にモーニングサービスをさせている。
なので、最近はいつも中本と通学するようになった。
「まあ、それはいいから。期末の数学、教えてくれない」
「またか、この前勉強を見てやっただろ」
「だけど、もっと教えてほしいの」
「全く、そういうことは知恵が……」
「ちゃんと教えてよね、でないと再葉の」
「わかっているよ」
中本が、再葉の何を知っているかわからない。
だけど、この関係は一か月近く続いていた。
「それより、再葉は、どんな人間だ?」
「まだ教えてあーげない!あなたが、ちゃんと私に尽くしていないから」
「いつまで続くんだこれは?」
「私はね、再葉とはとても仲のいい関係なの」
「本当にそうなのか?」
「ええ、そうよ。再葉と私は友達みたいなものね」
中本は怪しく笑っていた。
目が細いけど、落ち着いた顔を見せていた。
「一体、どういう関係なんだ?」
「昔の……幼なじみなのよ」
「幼なじみ?」
「ええ、再葉に会って確認すればいいわ」
「なら、俺にそろそろ会わせてくれないか?」
「それは、私に尽くし足りないからね」
中本は、やはり不敵に笑っていた。
そんな俺たちの前には、駅が見えていた。
駅には、すでに俺たちが乗ろうとしている電車が来ていた。




