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俺は、自分のマンションにいた。
転校生来て数日後、俺はいつも通り学校に行く。
最近は、若葉を探す手がかりもない。
俺は仕方なく、いつも通り学校に行く準備を進めていた。
(今日も学校か)
再葉のいない生活は、いまだに慣れることはない。
たった、一年間だけの俺の彼女。
だけど、いなくなったこの世界はつまらなかった。
まるで世界に色がなくなったかのような、退屈な世界だ。
(俺の色を取り戻す再葉は、どこにいるのだろうか)
俺はいつも、そのことだけを思っていた。
最近は、バイトも戻るようになったけど俺の心は戻らない。
(それにしても、朝早い時間だな、あの姫は)
俺が起きたのは、学校に行く一時間前。
基本的に、こんな早い時間に行くことはない。
だけど、朝食を済ませた俺はすぐにマンションを出ていく。
(あの姫は、いつになったら教えてくれるのだろうか)
それは約一か月前に現れた、あの転校生だ。
中本 芙蓉、彼女の登場は俺の生活を変えた。
それはいい意味ではない。
(再葉の情報と引き換えに、迎えに行くとか……何を考えているんだか)
それはわからないが制服に着替えた俺は、マンションのエレベーターに乗る。
そのまま、エレベーターで上がったのは二フロア上だ。
最上階ではなく、一つ下のフロアに中本が引っ越してきた。
マンションの前、505号室で俺はドアのそばにあるインターホンを鳴らす。
「中本、中本はいるか?」
俺は声を出したが、返事はなかった。
ドアをノックするも、反応がない。
(全く、これだから姫は)
俺は、中本の家の前で待たされていた。
目の前のドアが開くのに、三十分結局俺はそこにいるしかなかった。




