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一年彼女  作者: 葉月 優奈
五話:一年彼女のいない世界
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俺と響は住宅街を引き返していた。

俺は、落ち込んでいた。俺の僅かな迷いが、再葉を苦しめた。

再葉は、俺の言葉を待っていたが俺は最後まで言えなかった。

あの言葉を言って、再葉は変わったのだろうか。

それとも、彼女は秘密を守り通すのだろうか。


今となっては、確かめる術もない。

再葉はいなくなり、再葉の家も消えた。

再葉に対する唯一の手がかり香音には、冷たく言い返された。


「ケン……大丈夫?」

「平気だよ」だけど頭の中は、グルグル回ったままだ。

再葉のことで、頭がいっぱいだ。

再葉は、何者だろうか。

香音も、何者だろうか。

二人のいる世界は、なんだろうか。

そのあたりが、俺はわからない。


「ケン、本当に?」

「ああ、しばらく休もうと思う」

「え?」

「バイト休みたい。連絡をするから」

「そう、残念ね」響は、少し悲しそうな顔を見せた。


「響も、再葉に会いたいのか?」

「そりゃあまあ、いなくなってというか……なんとなくというか」

響の罪悪感も、まだぬぐえないままだ。

本人に会えなければ、その気持ちは永遠に残る。

それは響の傷であり、再葉の傷でもある。


「でも、再葉を探すつもりなの?」

「もちろんだ」

「アテは?香音だけがアテなんでしょ」

「若葉さんを探すしかない」

「若葉さん?」

「再葉と一緒に暮らしている人だ、あの人を探すしかない」

俺は、そこに迷いがなかった。

だけど、その若葉の場所は知らない。


「そう、どうするの?」

「俺は絶対に探す」

「再葉にそこまで会いたいの?」

「ああ、会いたい」

俺は再葉に対する気持ちが、さらに強くなったのかもしれない。

再葉がいなくなったことが、気持ちを強くさせた。

予告されて分かっていても、失う怖さが俺にはあった。


「だから、俺はどんな手を使っても若葉さんや再葉を探す!」

「ケン……」

立ち止った俺を、響は後ろから見ていた。


「だから、少しお別れだ」

夕日が暮れる住宅街で、俺は響にはっきり言っていた。



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