061
夜中、俺が目を覚ました時はベッドの上だった、
どうして俺が、ここにいるのかわからない。
暗い自分の部屋の中、俺は部屋を見回す。
電機はついていないし、薄暗く見える時計は深夜三時を指していた。
(なんでここにいるのだろうか)
俺は何も理解できない。
当然、俺は頭の中で少し前のことを思い出そうとした。
だけど、俺は思い出せない。
まるで一日中寝ているかのようだ。
(俺は何を、していたのだろうか)
まるで思い出せない、こんな感覚はいつ以来だろうか。
その前の日の記憶が鮮明に覚えているのに、昨日のことが思い出せない。
(何が起きたんだ?おとといは出かけるから)
あれ、どこに出かけるんだっけ?ああ、東京だ。
でも、平日だよな。修学旅行は秋だから、季節的に違うし。
なぜ、俺は東京に行っていたのだろうか。
俺はその理由を、全く思い出せないでいた。
何かものすごく大事な記憶が、スッポリと抜けているようだ。
ベッドの上から立ち上がって、窓を見た。
その窓には、雨が打ちつけていた。
マンションの三階の下、そこには深夜にもかかわらず傘が見えた。
強い雨が降っていて、誰かが帰ってきたのだろうか。
「雨、雨の日……傘」
頭の中が痛い。何か、大事なものが思い出そうとしていた。
そんな俺は、机を見ていた。
机の上には、スマホが置いてあった。
ぼんやりと闇の中で、スマホの画面を見る。
カレンダーのアプリには、デートの日と書かれていた。
(デートの日?誰とだ?)
だけど、その顔がかすかに思い出される。
傘、髪の長い少女、デート、東京……俺の中でそれらが一人の人間を、呼び覚まそうとしていた。
その人間は、顔がモヤのようなものがかかっていてわからない。
だけど、間違いなくそいつはいる。
俺が知っている中に、デートの相手がいる。
そんな中で、俺はスマホをさらに操作する。
「これは……ふた……ば」
そうだ、俺は思い出した。
スマホには、俺の忘れていた記憶がはっきり残っていた。
それは四十万 再葉という俺の彼女。
スマホの再葉の写真を見て、俺はすべてを思い出した。
「俺は思い出したぞ、再葉。再葉っ!」
俺は夜なのに、泣いていた。
一人で、その場にしゃがみ込んで号泣していた。




