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一年彼女  作者: 葉月 優奈
五話:一年彼女のいない世界
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あれから二時間後、若葉の車は高速道路にあった。

夜の高速は、車が渋滞していた。事故が前で起きていて、渋滞が十キロ続いていた。

俺は助手席で、再葉の隣で呆然とした顔を見せていた。


「ごめんなさいね、渋滞が長くて」

「いえ、いいです」

俺は、気が抜けたのか呆然として車の中にいる。

若葉は、車のハンドルを握りながら前を見ていた。

前には、何台もの車がつながっている。完全に身動きが取れない。


「再葉と一年彼女に付き合ってくれて、ありがと」

「俺はあんな終わり方は、絶対に納得しない」

「忘れてはくれないよね」

「当たり前だ。それよりも……」

俺は呆然とした中でも、若葉をしっかり見ていた。


「あなたは……再葉がいなくなったのに、どうしてそうまで冷静でいられるのですか?」

「そう、そうね」

「あなたにとって、再葉とは何ですか?

母でも姉でもない、奇妙な関係だと。でも一つ屋根の下で暮らしていて……」

「再葉が、運命を望んで受け入れた結果よ」

「タワーの上から飛び降りるのが、そうなのかよ?」

「ええ」全く否定しない若葉。

その言葉に、俺は若葉を睨んだ。


「なんでそんなことを、再葉はしなければいけない。

再葉は、なんで死ななければいけない?

運命だというのか、そんなのはおかしいだろ!」

「彼女にとって運命は絶対なの。

ううん、違う。私も、美来も運命から逃れられない。私たちの住む世界で」

「なんだよ、何が違うんだよ?」

俺は否定をするが、若葉は冷静だ。


「あなたを守るために、彼女は運命を受け入れた」

「飛び降りることが?俺には、全然わからない」

「わからなくてもいいの。ねえ、ここなら人の目にはつかないから」

「若葉さん?」

そんな若葉がスーツの胸元を広げていた、

運転中にも関わらず、ボタンをはずす若葉。

俺を誘惑しようというのだろうか。


「ねえ、キス……しましょ」

「こんなところで、しかも再葉がいなくなったのに」

「再葉がいなくなったからよ。私は年下が好きなの」

「だけど……」そう俺が返事を返そうとすると、長い若葉の手が、俺の方に伸びてきた。

そのまま、俺の頭の後ろに回して、俺を抱き寄せた。


「若葉さんっ!」

「いいでしょ」

「これはどこかで……」

俺は、何かを思い出そうとした。

そうだ、修学旅行の帰りの日を思い出した。

そこには、再葉と香音がいた日だ。


「若葉さん、あなたは……」

「ええ、思い出しちゃった?あの時のキスを」

そういいながらも、強引に若葉が俺の顔を引き寄せた。


女ではあるものの、意外と腕力の強い若葉に俺は抵抗できない。

そのまま、吸い寄せられるように俺の顔が若葉の目の前にあった。

そのまま、若葉が唇を近づけていた。



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