058
俺は必死に探していた。
それは、いなくなった彼女。
俺を置いて飛び降りた彼女、四十万 再葉だ。
再葉を探して、ひたすら走る。
フラフラになりながらも、俺は探し求めていた。
タワーの近くにある、交番を見つけた俺は藁にも縋る思いで入っていく。
いたのは、警察官が二人だ。
「助けてくれ!俺の、俺の彼女が……」
「落ち着いてください、迷子ですか?」
「いいえ、飛び降りた。タワーの上から」
「タワーの上から?まさか」
警察官の一人は、薄ら笑いを見せていた。
全く俺のことを、相手にしていないようだ。
「飛び降りたのなら、すぐに本部から連絡が入るし。連絡は来ていないよ」
「嘘だ、俺は見た。俺の彼女、再葉が飛び降りたのを」
「まあまあ、落ち着いてください。彼女さんの名前は、容姿的特徴とかない?」
「水色のワンピース、ショートブーツの髪の長い女の子で。
年は十六だけど、少し幼くて。それで……」
「なるほど、わかりました。まあ参考人として」
そんな時、一人の警察官が無線を受け取っていた。
胸にある大きなトランシーバーを手に取って、何やら頷く。
発信主が、何か偉い人なのだろうか。その顔は、真剣な顔を見せていた。
「わかりました」
連絡のやり取りを終えた警察官が、トランシーバーの電源を切っていた。
そのまま、険しい顔で警察官が俺を見ていた。
「ところで君の名前は?」
「本郷 健斗」
「なるほど、わかりました。今、迎えが来ますので」
「迎え?俺は……」
「いえ、あなたの彼女さんについては解決しましたから」
「解決って……何も」
俺は憤っていた。
再葉は、俺のそばにいない。
タワーの上から飛び降りて、俺の前からいなくなった。
とにかく、俺は再葉に会いたい。
もう一度会いたい。
俺は、その感情だけでここにいた。
何でもいい、何か手がかりが欲しかった。
「大丈夫ですよ、ほら、お迎えが……」
そんな交番の前に、一台の車が横づけされていた。
その車に、俺は見覚えがあったしまもなく運転手が姿を見せた。
「本郷君、帰るわよ」それはスーツ姿で、若葉が姿を見せていた。




