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一年彼女  作者: 葉月 優奈
四話:一年彼女の最後の日
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俺はこの質問を何度もためらっていた。

再葉は病気だ、原因不明の発作を抱えている。

夜の十一時ごろに、その発作は突然行われていて変な弓で治せるものだ。

最近はその弓を俺もうまく使いこなせる自分がいるのが、不思議なものだが。


「俺は、どうしてこの一年なのかわからない。

四月でもなく始まりは、六月だし。

六月は、雨が降りやすい中途半端な時期だとは思うし」

「ええ、そうでしょうね。でも私は病です」

「あの発作はなんだ?」

「ただの病です。不治というか……やっぱり治らないので不治ですね。

ただ、治すためにあなたと今日別れる必要があります」

「どういう意味だよ?最後に教えてくれるって、言っていなかったか?」

「そうですね、私が病を治すために……今日はあなたと別れます」

「どうしてだよ?」

「不治の病を治しにいきますから」

「どこか、病院にでも入るのか?」

「そうですね、そんなところです。だけどそのあとが大切なのです」

そういいながら、再葉は座席の隣にいる俺の手をつかんできた。


「この病の後、私は私でなくなります。

その時の私に、あなたは声をかけてほしい。

あなたを利用しているようで、私は心苦しいのだけど」

「何を言っている、俺は再葉を忘れない。

今日もいい日にする、いやそんな運命から俺は再葉を失ったりしない」

「それはとても……うれしいな」

再葉は俺に、恥じらいながらも微笑んでいた。

彼女の本当の笑顔を、俺は初めて見たような気がした。


「ああ、俺はいつまでも再葉といたいからな」

「うん、健斗。私も」

そういいながら自然と、俺と再葉が見つめていた。

俺と再葉の顔が、唇が重なろうとする。

だけど、それを阻んだのは再葉だ。


「ごめんね、そのキスは最後に取っておきたいから」

俺を突き放した再葉は、真っ赤な顔で俺に人差し指を立てていた。

そこにいた俺は、まだ知らなかった。

数時間後に、再葉がタワーの上から飛び降りたのだということを――



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