054
ゴールデンウィークの遊園地で、一人の人間を探すのはとても難しい。
混雑する園内で、俺は走り回った。
人をかき分け、一人の彼女を探す。
だけど、人ごみに消えた再葉は見つからない。
(どこに行ったんだよ、畜生……)
俺は走り回っていた、昼間から夕方にかけて。
だけど、再葉は見つからなかった。疲れた俺は、息を切らして外灯に手をついていた。
走り回って、俺の顔は憔悴していた。
「再葉っ……どうして……」
俺は再葉の言葉がわからない。
彼女は、何をしようとしているのか。
再葉は、大きな問題を抱えていてそれを一人で消化しようとしていた。
だけど俺は、そんな再葉を助けたい。
「俺は、そんなに頼りないのかよ」
うつむいてつぶやく俺に、一人の女が近づいてきた。
「再葉かっ!」
俺は後ろに振り返ると、そこには恵理那がいた。
暑いこの日でも、長そでのブラウスを着てロングスカートの恵理那だ。
二年になっても、同じクラスメイトの恵理那。
私服の恵理那を見るのは、初めてだ。
「恵理那?」
「本郷君、どうしたの?なんか苦しそうよ」
「再葉を見なかったか?」
「四十万さん?彼女は確か観覧車の近くに……」
「マジか、ありがと」
俺は立ち去ろうとしたが、そんな俺の手を恵理那が捕まえた。
「恵理那……」
「四十万さんも、本郷君も苦しそう。
あなたたち、一体何があったの?」
「恵理那には関係ない」
「そんなこと、言わないでよ!」それは恵理那の強い口調だ。
心配そうな目を、俺に向けてきた。
「ちょっと喧嘩した」
「喧嘩って、それは早く仲直りした方がいいわよ」
「恵理那……」
「ほら、こっちよ」
そんな恵理那は、俺の手を引っ張って走り出した。
「お前、ちょっと、そんな性格だったっけ?」
「同じクラスメイトなんだし、困っている人がいたら助ける」
「だけど……」恵理那は、俺に一度告白している。
告白した恵理那に、俺は返事を返していない。
「女の子は、絶対に一人にしちゃだめよ。
手だって、離してはいけないの」
「そういうものなのか?」
「当たり前でしょ」恵理那は、少し怒っているようだ。
「ああ、そうだな。俺が再葉の手をしっかり握ってやらないとな」
「それに四十万さん、あなたを待っているわ」
恵理那の言葉に、俺は少し救われた気がしていた。




