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俺は、確かに再葉に対する考えは変わっていた。
確かに、これが好きという感情なのかもしれない。
最近は再葉に会うだけで、少しドキッとする。
しかし、期限も限られていた。
「一年彼女、この関係をなぜ再葉がこだわるのだろうか?」
「再葉の運命だから、それに関しては必ず話してくれる」
「本当かよ、再葉は秘密が多い」
「女の子は、何かと秘密が多いものだ」
女の子というか、幼女が言ってもあまり説得力がない。
「それにデートの場所も、既に決まっているし」
「運命だからな」
「そこにいきつくのか」
「まあ、そう。だけど健斗には期待している」
「何がだよ?」
「再葉の運命を、必ず変えてくれることを」
「俺が?何も再葉をわからないのに」
「それがいいんだ」美来は、なぜか笑みを浮かべていた。
食事を終えた美来は、大きな椅子からゆっくりと立ち上がった。
「今日はバレンタイン、恋人たちのための日。
再葉の彼氏として、しっかりやってくれたまえ」
「お前は、会社の上司か何かかよ?」
「そうではないが、人生経験豊かな未来は見守るとしよう」
「幼女なのに」
「馬鹿いえっ!美来はお姉さんだ」
小さな子が言っても、やっぱり説得力がなかった。
「再葉は脆いからな。柔らかく、脆く、経験がない、不幸」
「ああ、そうだな」
「それでも、再葉の願いだけはかなえてほしい。
ささやかな彼女の夢だけは、かなえてほしい。
それができるのは、この世界中で健斗だけなのだからな」
美来は、最後に俺にそう言っていた。
俺は、静かに頷いていた。彼女の妙な言葉に、説得力があったから。




