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一年彼女  作者: 葉月 優奈
一話:一年彼女と出会いの日
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005

俺は拉致されるように、黒い車に乗せられた。車に後部座席に、俺は四十万の隣に乗り込んでいた。

先ほどまでの女子との他愛ない会話とは、雰囲気が違う。

俺の腕を、四十万がしっかりとロックしていた。

それにしても、なんて強い力なんだ。本当に四十万は女か。


運転席にはスーツ姿の女がいる。眼鏡をかけていた、大人の女性。

女子席には、女の子がいた。

それは、四十万と一緒に音楽ゲームをしていたミニツインテールの幼女。


「前にいるのが、若葉さん。『四十万(しじま) 若葉』さん。

隣にいるのが、『四十万 美来』さんよ」

「は、はあ。家族か?」

「家族……そうね」

俺の隣で『四十万 再葉』が、紹介していた。ここでは再葉と言っておこう。

後部座席にいる再葉は、相変わらず俺の手を握っていた。

足元には、俺が持ってきた再葉の黒い傘。

なんだか、四十万が少し怖くなっていた。

積極的なのか、こういうタイプの女子は見たことがない。


「再葉、ちゃんと話したの?」

前の女子席から、かわいらしい声が聞こえる。


「話したけど……うまく伝わらなくて」

「そう、これはあなたの望んだことだから」

「わかっている」

美来と何かを、話しているようだ。

そんな美来は、助手席から俺の方をじーっと見ていた。


「ふーん、あんたがねぇ……」

「この女の子……違う」

美来という女の子は、髪の色が違う。染めているのか髪の色がピンクだ。

黒い髪の再葉と、茶色かかった運転手の若葉。本当に同じ家族に見えない。

見た目だけではない、雰囲気も、性格もまるで違う。そんな印象だ。


「それにしても、俺はどこに拉致されるんだ?」

「拉致なんかじゃありません」

俺の腕をつかんで、顔を覗き込んだ再葉。

その顔は、真剣すぎて怖い。大きな目に俺の顔が映る。


「拉致じゃないなら今の俺は、何という?」

「あなたが、私に告白してくれればいいの」

「言っている意味か、さっぱり分からないけど」

「女の子に、そういうことを言わせないで」

再葉は叫ぶように、俺に言ってきた。

こういう時の女は、なんかズルい。

家庭環境から、女の扱いには慣れているが再葉は少し強引だ。

何か、裏がありそうだ。


「どうして俺なんだ?」

「あなたではないとだめなの。本郷君には、今彼女はいないでしょ」

「なんでそう思う?」

「いろんな女子と話をしているからよ」

それは、再葉が俺を観察しているようだ。


俺は、確かに女子と話すことに抵抗がない。

友達も男もいるけど、女の友達の方が多い。

幼いころからずっとそうだったから、あまり意識していないがよく男子に言われる。


「まあ、それで彼女がいないことにはつながらないと思うが」

「だけど、私は調べたの」

「ストーカーかよ?」

「香音を使って調べましたから」

「お前、なかなか趣味悪いな」

まあ、俺も香音から四十万 再葉のことをいろいろ聞いたからな。

それ以上に、もう一つ言いたかったことがある。


「どうして俺が、四十万に告白なんだ?」

「私は、運命に従っているから」

「運命?なんだそれ?」

「再葉はね、運命を信じているの」それを言ったのは、運転手の若葉だ。

前を向いたまま、運転を続ける車内唯一の大人だ。


「それって、神様を信仰するとか?そういうレベルか?

それとも、俺を宗教に勧誘するつもりか?」

「運命は、運命よ」

そんな中、若葉がある場所に車を駐車していた。

窓から見える景色を見て、俺は驚いた。

それは、俺がよく見ている光景だった。


「着いたわよ」

「ここは、俺のマンションじゃないか!」

そう、そこは俺が住んでいるマンションだった。



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