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一年彼女  作者: 葉月 優奈
四話:一年彼女の最後の日
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年が明けた。元旦のこの日、俺は少し遠出をしていた。

電車に乗って、地元掛川から静岡市内まで来ていた。

車内は、着物姿の女性もちらほら見かける。電車に乗ってまでついたのが、神社だ。

赤い鳥居をくぐって、多くの参拝者がいる神社の本殿に向かう。


(本当にここなのか?)

それは静岡市内にある大きな神社。

俺はスマホ片手に周囲をぐるりと見まわすと、社務所の方に向かう。

そこで、一人の巫女が俺に手を振っていた。


「やっほー、ケンタ」

「元気だな、あけおめ飛鳥」

「あけおめ、ケンタ」

そこにいたのは少し日に焼けた巫女服の女子。

短い髪の俺のクラスメイトは、巫女服でも元気いっぱいだ。

そして、なぜか俺のことを「ケンタ」と呼ぶ。


「飛鳥はバイトか?」

「実家の手伝い、この日は忙しいからね」

「元旦だしな」

「ねえねえ、ボクのこの服似合う?」

飛鳥が、俺に巫女服をアピールしてきた。

短い髪で健康的に日に焼けた肌の飛鳥。巫女服を、腕まくっているところが飛鳥らしい。


「まあ、似合うんじゃないか?馬子にもなんとかいっていうか」

「そう、よかった。ボク、心配したんだよ」

「接客時もボクっていうのか?」

「いや、言わない」

そんな社務所は、人がまばらだ。参拝から帰る人が、今の時間は多いようだ。


「まあ、いいけどな。それよりありがとな。この前の稽古」

「うん、まさかケンタが弓道に目覚めるとか」

「目覚めたわけじゃないが、まあ興味があったので」

「そう、それでもいいよ」

飛鳥は、陸上部だけどほかの部活も掛け持っている。

実家が神社ということで、剣道や弓道、さらには薙刀も幼いころから(たしな)むスポーツ女子だ。

俺が彤弓を教わったのも、飛鳥だから。


「ねえ、それより破魔矢かった?」

「破魔矢?これか」

そこには、シンプルに赤いひもで飾り付けられた破魔矢が置いてあった。

値段は、普通サイズだと千円か。高いな。


「この破魔矢って、邪気を払う意味があるんだって」

「邪気ねぇ」

「一年の初めに破魔矢を買って、邪気を払う。

この矢は、人に向けるものではなく邪気に向けられる矢だよ」

「さすがは巫女」

「まあね」

その言葉を聞いて、再葉のことを思い出す。

再葉の身に起こるあの発作も、邪気なのだろうか。

だとすると再葉は、何かの呪いがかけられているのだろうか。

それは、俺にもわからない。情報は全部抑えられているし、開示されない。


「まあ、考えても仕方ないか」

「何が?」

「いや、こっちのこと」

「そう、シジーのことかと思ったよ」

意外と鋭いな、飛鳥は。

飛鳥の言葉に、俺は表情に出して驚いていた。


「やっぱりね、シジーはかわいいから」

「飛鳥はどう思う?俺と再葉の関係」

「そうだね」

そういいながら、少し飛鳥がもったいぶった顔を見せていた。

俺は、じらす飛鳥の言葉を少し待っていた。



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