046
俺はこの弓を、託されていた。
若葉は、クリスマスの近いこの日は家にいない。
美来を連れて出かけているから、俺は再葉を俺の家に泊めていた。
その時に渡されたのが、この弓だ。再葉の発作を抑える彤弓だ。
使い方も教えてもらって、俺は初めて実践した。
「健斗……」
「ああ、再葉」
矢が刺さった再葉は、体の震えが収まった。
光の矢は、再葉に命中して光が弾けていた。
「ちゃんと彤弓を、扱えるようになったのね」
「まあ、再葉は夜に発作があるだろう。
それに、俺の知り合いに弓に詳しい人もいるからな」
「そう……ですか」
目が赤い再葉だが、フラフラしているようにも見えた。
彤弓の矢に当たると、再葉の発作が治まっていた。
だけど、矢が当たることで再葉の体に変化が起こっていた。
体が重くなって、激しい眠気に襲われるらしい。
「あの、デートなのに」
「いや、これでいい。再葉は夜になると早く寝るんだろ」
「そう……ですね」倒れる再葉を、俺は抱きしめた。
そのまま、再葉は大きな寝息を立てて眠っていた。
弓を手放した俺は腕の中で、小さな再葉が納まっていた。
そんな中、机のコンセントに充電していた俺のスマホが鳴り出した。
俺は再葉をそばにあるベッドに寝かせて、スマホの方に近づく。
スマホにかけてきたのは、若葉だ。
スマホを片手に、俺はゆっくりと部屋を出ていく。
「若葉さん?」
「再葉の方は、そろそろ起こるわね?
時間は、そろそろ十一時だから」
「もう、再葉は発作が起きましたよ」
「あら、そうなの」
意外そうな表情を見せているだろう、若葉の声が聞こえる。
俺の部屋にある電波時計は、十時五十七分を示していた。
「もう矢は打っちゃったの?」
「ええ、終わっています。無事に再葉は眠っています」
「そう、やはり健斗君といると発作が早いのかしら」
「若葉さんは、それで連絡をしたの……」
「今から会える?零時過ぎには、掛川に戻れるから」
「いいですよ。あなたに、聞きたいことがありますから」
俺は迷わず若葉に、言っていた。




