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一年彼女  作者: 葉月 優奈
三話:一年彼女を狙う者
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043

その声には聞き覚えがあった。

抑揚がない、冷静な女の声。少し子供っぽくて、冷めてもいる声。

俺たちのいる広場には、香音が現れた。


「馬走、どうしてここにいる?」

「ええ、あなたの作戦には引っかかりませんよ」

「役に立たないな、あいつも」

「あなたを狩りに来た、(ディン)」ゆっくりと再葉と、塊と言われた男の間に割って入る。

塊は、首をコキコキと回していた。


「まあ、ここは覚悟を決めて」

「再葉様、香音に任せてください」

「いいけど、あなたはさっきも戦ってきたのでしょう」

「香音の仕事は、戦うことですから」

香音は、迷わず再葉に一礼した。背中に再葉と俺がいる中、塊と向かい合う。

俺は再葉に抱き着かれて、そのまま後ろに下がっていく。


「まあ、そうだよな。俺たちの社会だと戦いしか会話がない」

「あなたたちと一緒にしないで」

「何が違うんだ、お前たちとは?」

「それは……」次の瞬間、香音が消えた。

それから、すぐに塊が吹き飛ばされた。


吹き飛ばされた塊は、そのまま公園の外灯にぶつかって倒れる。

口から血を吐いて、そのままうつぶせに倒れていた。

塊がいた場所には、拳を振りぬいた香音が立っていた。


「これは……」

「香音の力」俺のそばにいる再葉が、静かに答えた。

「香音は、いったい何者なんだ?」

「知ってほしくないの、健斗には」

俺に抱きついている再葉は、悲しそうな顔を見せていた。


「こんなものを見せられて、知らないでは済まないぞ」

俺が見ているのは、現実だ。


俺の体が、一瞬で動いて相手は怪力でベンチを投げ飛ばす。

その相手さえも、香音が一撃で倒してしまう。

香音も瞬間移動ができる。

アニメや漫画のような世界が、俺の目の前で現実として行われていた。


「忘れて」

「嫌だ、教えろ!」

俺は再葉に求めた。

そんな小さな公園の入り口からもう一人、俺たちの方に歩いてくるのが見えた。


「二人とも無事かしら」

「若葉さん」俺たちのところにやってきたのは、若葉だ。

スーツ姿に眼鏡という、インテリな大人の女性だ。


「香音、生きている?」

「いえ、絶止しました」

「そう」

若葉は、俺たちの方に歩きながら香音と短い言葉でやり取り。

香音は、倒れている塊のそばにいていつの間にか調べていた。


「ぜ、『ぜっし』って」

「そのままの意味、本郷君。ありがとうね、そして怖かったでしょ」

まもなくして、若葉は俺の前にやってきた。

なんだろうか、まだ俺の震えが止まらない。


「若葉さん、この件について」

「忘れてはくれないでしょ、本郷君」

「ええ、説明を」だけど、俺が言おうとした瞬間、俺を抱きしめていた再葉が突然俺の顔を両手で抑えた。


「え?」

「ごめんね、健斗」俺の背後にいる再葉が、泣いているようだった。

「な、何を」

「だから、甘いキスで」

若葉の顔が、俺に近づいてくる。


そのまま、若葉は俺と唇を合わせた。

唇を合わせた瞬間に、何かが俺の中に入ってくるのを感じた。


(これは……やめろ)

だが、俺が動こうとしても再葉の両手で抑えられた顔が動かない。

万力で抑えられているかのように、ガッチリと抑え込まれていた。


それから数秒後、俺は口から入った何かによって激しい眠気が襲ってきた。

抵抗できることもなく、俺はそのまま眠ってしまった。



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