039
修学旅行から二日後、俺は一人の少女を呼び出した。
夕方から夜になって、周りが暗い公園。
茶色のパーカーを着ている俺の手には、紙袋がある。
ベンチそばの街灯で、呼び出した少女が間もなくやってきた。
「健斗」出てきたのは再葉。
学校でもないのに、なぜか制服を着ていた再葉。
「再葉、だいぶ俺の名前を呼ぶのに慣れてきたようだな」
「そうですね」
「だけど、俺はまだ慣れない」
俺は、じっと再葉の方を見ていた。
「慣れないというのは?」
「再葉が、俺にいくつも秘密があることだ」
「そうですね」
「なぜ、俺に話してくれない。
付き合ってから三か月になる、そろそろ話してくれないか?」
「ごめんなさい」いつも通りの顔でうつむく再葉だ。
そんな俺は、うつむく再葉に紙袋を差し出した。
「一応、ほら、お土産」
「健斗……」それでも、再葉は俺の紙袋を受け取らない。
「再葉は、香音と随分仲がいいみたいだな」
「香音は、友達ですから?」
「俺に隠すことと何か関係あるとか?」
「そうですね、それはわかりません」
どうやら、香音もわからない再葉の秘密があるらしい。
転校してきた再葉と、香音。そこで二人は仲良くなったらしい。
「不思議な関係だよな、いつも何か見えないものを求めている。
決して手が届かない、夜空の星のように」
「そう……ですね。私たちはきっと弱いんです。
弱いからこそ、助け合わないといけない」
「俺は、そこには入れないのか?」
俺の言葉に、再葉は上目で空を見た。
晴れた夜空には、星が輝いている。
「健斗は、ほかにもいっぱい女子がいますから」
「今は、俺は再葉の彼氏だぞ」
「そうなんですよね」
それでも照れている様子の再葉。
だけどすぐに俺の方を向いていた。
その顔は、どこか冷たい顔で俺を見ているようだ。
「再葉?」
「人がいます」
「人?」
「私の嫌いな人」そんな再葉が指さしたのは、公園の茂み。
その近くに確かに人影が見えた。
「だ、誰だよ!」すぐさま俺は再葉の前に出る。
そのまま、俺は茂みの中を睨んでいた。
すると、茂みの中から出てきたのは意外な人物だった。
「お前は……」そこに出てきたのは、俺がよく知る人物だった。




