037
夜にホテルで戻っていた。
食事も終えて、俺はホテルのロビーにいた。
浴衣姿に着替えた俺は、ある生徒に呼ばれていた。
ロビーのテーブルに、その呼び出した生徒は待っていた。
そういえば、食事の時には恵理那はいなかったな。
「来たのね」ミニツインテールの香音がすでにいた。
首には、なぜか黒いカメラをぶら下げていた。
「ああ、なんであんなことをした?」
「決まっているわ、彼女のためよ」
「再葉か?」
『馬走 香音』と『四十万 再葉』はとても仲がいい。
それは、中学が同じな俺もよく知っていた。
「あの写真、あそこで張っていたのか?」
「そう、私は一人で動けるから」
「俺をつけていたってことか?」
「再葉のためだから……」香音は、言いながら目をそらす。
ホテルのロビーでは、ほかの生徒も何人か談笑している。
その中には、恵理那の姿はない。
「そう、彼女には私しかいない」
「香音にとって、再葉はそんなに大切なのか?」
「ええ、彼女は守るべき存在」
「守るべき存在ねぇ……」
香音は、再葉に対しての感情は一貫している。
もしかして、再葉のあの病のことを知っているのだろうか。
「なあ、香音」
「何?」
「香音は、知っているのか?再葉のこと」
「ええ、もちろん。再葉のことは何でも知っている」
「それじゃあ、夜の発作もか?」
俺の言葉に、香音はカメラをいじっていた。
「あなたも知っているのね」
「まあ……な」
「彤弓は使ったことがある?」
「いや……見たことはあるが」
「あなたが、これから再葉と付き合うなら彤弓を使えるようにならないといけない。
再葉は……普通ではないから」
「ちょっと待て、それはわかるけど。具体的にはどうすればいい?」
「再葉には、敵が多いの。病だけじゃない、多くの敵が」
香音は顔を上げて、俺をしっかり見ていた。
どこか冷めた目で、俺を観察しているようにも見えた。




