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一年彼女  作者: 葉月 優奈
三話:一年彼女を狙う者
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秋になった修学旅行。行先は札幌だ。

昼間の自由時間は、時計台や動物園を回っていた。

男女六人一班で行動する。ホテルに帰る夕方まで、自由時間は長い。


「で、ここなのか」

それは札幌市内にある大きな山だ。

市街地から少し離れたところにあるその山に、俺らは班で行動していた。俺は班長ではないが。

山の上にある展望台には、ほかにも何人か観光客がいるが静かな場所だ。

天気は少し曇っているのが残念で、今にも雨が降りそうだ。


「そうよ、高い場所だからね」

「高い場所が好きなのか」

「当たり前でしょ、静岡県民だし」

俺の隣にいたのは、恵理那クラス委員長だ。

長い髪をなびかせた恵理那は、手すりをつかんで眺望を眺めていた。

この班の班長でもあり、この場所をとても推した張本人でもある。


「俺、富士山を上ったことないけどな」

「そう?静岡県民なのに」

「たまたま機会がなかっただけだ」

「一度は上った方がいいわよ、頂上」

「まあ、そうだろうな」

俺の眼下には、札幌市街が小さく見えた。

なるほど、眺望はかなりいいようだ。さっきまでいた時計台も、小さく見える。


「あの子も上ったことはないのかしら?」

「あの子?」

「四十万さんよ」

恵理那は、知っている。

俺と再葉が付き合っているのを。

というより、俺と再葉が付き合っているのを知らない人間は俺のクラスにはいない。

そんな再葉は、どこの班にも属していない。


「さあ、多分ないんじゃないのか?」

「そう?そうかもね。本郷君は、四十万さんと同じ中学でしょ?」

「ああ、そうだけど」

「中学から付き合っていたわけじゃないでしょ」

「まあ、そうだが」

なんだ、随分と詳しいな。

なんで、そこまで調べているのか?少し引っかかる部分がある。


「でも、四十万さんはここにいない」

「修学旅行は、不参加だからな」

そういえば、中学の修学旅行も参加したことないって言っていたな。

やはり、アレが原因なのだろうか。


「ねえ、ここは本当に見晴らしがいいよね」

「まあ、景色は違うよな」

「でしょ、ここは夜景もとってもきれいなの」

「百万ドルの夜景だっけ?」

「多分、それは函館よ」

「あ、そか」恵理那は、クスリと笑っていた。

いつも通りの他愛ない会話。だけど、それは普通の会話と少しだけ違う。

何かが、俺の中で引っかかっていた。


「恵理那、何が言いたい?」

「そう、わかる?」

「何となくだけど、今日の恵理那はよそよそしいというか」

「そうね、じゃあ、私はちゃんと話そうと思う」

俺の方を向いて、俺の手をつかんだ。

恵理那の手は柔らかくて、細い。

髪の長い恵理那の髪が、そよ風でなびく。


「私は自分が、とても卑怯だと思うけど」

「何が卑怯だ?」

「あなたが好き、本郷君」

それは顔を真っ赤にした恵理那の姿が、俺の前にあった。



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