表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一年彼女  作者: 葉月 優奈
二話:一年彼女と愛の定義
27/161

027

若葉と美来は、再葉と一緒に暮らしている家族だ。

だけど、どうして高校の体育祭に来ているのだろうか。

その理由は、若葉の持ち物にあった。


「カメラ、ですか?」若葉の胸には、一眼レフの立派なカメラがぶら下がっていた。

右肩にはバスケット、スーツ姿だとミスマッチな格好だ。


「ええ、再葉の運動会ですから」

「高校の運動会に、家族が来るのは珍しいですね」

「家族、ああ、そうね」

少し間があった、俺はそれが気になっていた。


「若葉さんって、再葉の母親……にしては若いと思うのですけど」

「あら、ありがと」

「若葉さんは、再葉の母親ではないですか?」

「……そうね」

若葉はカメラを構えて、グラウンドの中にいる再葉の方にファインダーを向けた。


「撮影禁止、じゃないわよね?」

「まあ、家族もほとんど来ませんけど」

高校生だし、家族で応援とかそういうのはない。

当然保護者席も、設けられていない。


「では、あなたは何者ですか?姉、とか?」

「それも違うわ」

「じゃあ部外者ですか?」

「いいえ、保護者よ」

写真を一枚撮りながら、俺にはっきりと言ってきた。

顔は、再葉の方に向けられたまましっかりした口調で言う。


「保護者?」

「保護をする理由は、いろいろあるわ。

家族であり、兄弟姉妹であり、親戚であり。

でも、それ以外の保護の方法だってあるのよ。

再葉は危険であり、未成年だから」

その言葉に、俺は首を傾げた。再葉が危険、どういうことだろうか。


「ああ、ごめんなさい。今の言葉は忘れて」

「再葉は、何者ですか?」

「あなたが見たことが、正しい再葉」

それを言うのは、美来だ。美来はグラウンドの再葉を見ていた。

まもなく女子百メートルが、始まろうとしている。

アナウンスも流れて、周りの生徒の注目がそれなりに集まった。

最も一番注目を集めるのは、最後のレースに走るジュニアチャンピオンの飛鳥だろうけど。

第一レースに走る再葉は、やはり緊張した具合の悪そうな顔を見せていた。


「俺が見ている再葉?」

「そう、だから本郷は今の再葉を見ていればいい。

しっかりと記憶に焼き付いておいてほしい。

再葉が運動会を走るのは、初めてだから」

「初めてって……あれは」

そうだ、再葉の袖から見えたのは右肩に包帯が見えた。

短い半ズボンの太ももにも包帯がまかれていた。

再葉がスタート位置で、構えていた。


「ケガしているのか?なぜ?」

「それは、本人に聞いてみたらいいと思うわ」

「え?」俺は驚いた顔で、再葉を見ていた。


俺が驚いていると、女子百メートルのスタートが始まった。

だけど、すぐにレースは一秒もしないうちに大勢が決していた。

包帯姿の再葉は、どんどん離されていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ