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一年彼女  作者: 葉月 優奈
二話:一年彼女と愛の定義
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俺のところには、飛鳥が取り残された。

この飛鳥と知り合ったのは、高校に入ってからだ。

最も、飛鳥は静岡市から来ているので、通学路が一緒になることはない。

クラスでも、女子から人気のある飛鳥。少々子供っぽく無邪気なところがある。

それでありながら、なぜか最近は俺にしがみつくのが好きなようだ。


「ケンタ、おもしろーい」

「何が面白いんだか」

「ケンタは、すぐ疲れた顔をする」

「そうか?」たまに自分の顔を鏡で見るけど、そんな風に感じなかったな。


「ケンタは、今日は走らないの?」

「体育祭実行委員は、走らない。そもそも競技に参加しない」

それが、俺が体育祭実行委員をやっている理由でもある。

実行委員になると、競技が免除される。

取り立てて運動は苦手ではないが、参加するのが単に面倒だから委員をしているだけだ。


「そっか、残念。走った方が楽しいよ」

「飛鳥は、早いからな」

「ねえ、あの子も早いの?」

「あの子?」

「ボク、聞いたよ。ケンタの彼女。ほら、そこにいる」

それは、すでにスタート前に移動していた体操服姿の再葉。

飛鳥が不思議そうな顔で、再葉を見ていた。


「ああ、彼女な。再葉はどうだったかな?」

そういえば、再葉が走るところを見たことがない。

中学最後の運動会は……走っていなかったような。

少し離れた席に一人でいる再葉が、こわばった顔を見せていた。

緊張というか、青ざめた顔で具合が悪そうにさえ見えた。


「ボクより早くないと、認めたくないな」

「お前より早い女子高生、日本国内で探しても片手で数えるしかいないだろ」

「まあ、そうだね」

「それに、飛鳥が認めなくても俺の彼女には関係ない。

俺は愛があれば……彼女にする」

「それは一番だね、ケンタ」飛鳥が俺から離れていた。


「ねえ、ケンタはあの子に愛があるの?」

「俺は……そうだな」

「愛がない恋愛は、絶対に続かないよ」

飛鳥が言う鋭い言葉に、俺は戸惑いがあった。

今までの成り行きは、確かに俺が流された部分がある。

その部分はとても強くて、そこに愛があったか疑問だ。

俺は再葉を愛していたのか、今も愛しているのか。


「飛鳥……」

「ああ、ごめんごめん。ボクも出番だね」

そういいながら飛鳥は、俺から離れて走っていった。


クラスの周りの女子たちも、立ち上がっている。

彼女たちの奥には、一人の女子の実行委員の姿がった。

まもなく女子百メートルが始まるので、移動が始まるのだろうか。

男子で委員の俺は、参加できないから一人でその光景を眺めているしかない。

そんな中で、俺の視界に入ってきた二人組がいた。


「本郷、元気か?」一人は小さな女の子、美来だ。

そして、美来の隣には紺のスーツを着ている女若葉の姿もあった。



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